本日、イブラギモヴァのイザイ無伴奏ソナタの全曲演奏会に行ってきた。
イブラギモヴァは今回はじめて聴いた。覚えにくい名前なので漢字にしてみると、『伊武楽技喪婆』とこんな感じか。聴いてみた感じではロシア人らしく力強い『武』と鋼の技術力『技』のイメージがある。この人の場合は、音量が豊かなので室内楽よりもオーケストラ相手の協奏曲の方が映えると思う。
さてイザイ無伴奏ソナタに関しては、何回か書いているが強いコダワリがあるので、満足できる演奏はほとんど聴いたことがない。今まで生演奏で聴いたかぎりでは、女王ヒラリー・ハーンと妖精クラマジラン、テツラフのみが及第点である。他、期待できそうな演奏家としては、トーマス・ツェートマイヤーとパトリツィア・コパチンスカヤであるが、いつか聴いてみたいと思う。あとは上級者用メソッドと弾いてしまう演奏者がほとんどである。今回も残念ながらそのような演奏であった。特に3番は、コンクール御用達のような曲なので、大抵のプロヴァイオリニストならうまく弾くことができるが、ただそれだけの話しである。
この曲を演奏するにあたって、献呈者の演奏スタイルを取り入れる必要があるのではないかと個人的に考えている。1番は、シゲティに献呈されているが、シゲティはそれほど上手いソリストではなかったのだが、技術を補う考える演奏をしていた。つまり、百戦錬磨な戦士が晩年に語る鬱積多き人生譚のような、ぽつり、ぽつり話していながら、決め所では、いきなり強調するような唸りが必要で、技術的にある程度傷のあるくらいの演奏の方が説得力があるのではないかと。
第2番は、ティボーに献呈されている。ティボーといえば、ポルタメントを多用した歌だ。現在では下品とされている表現でもこの曲では持ってくる必要があるのではないかと。
第3番は、エネスク。ルーマニアの大バイオリニストでありかつ作曲家。バイオリニストとしての腕は、晩年の録音しかないので、よくわからないが、作曲家としての作品はたくさん残っている。この曲はフランス風に演奏されることが多いが、エネスクの作品のなかにある複雑性にチャレンジしてみる価値はあると思う。
第4番は、クライスラー。私はこの4番は、正直なところ理解できていない。むしろ第5番の方がクライスラーという感じがする。
第5番、第6番は今では無名のマチュー・クリックボームとマヌエル・キロガ。私もよくわかっていないが、調べてみるといろいろとヒントになることが見つかるかもしれない。
2014/4/30(水) 19:00開演
アリーナ・イブラギモヴァ(ヴァイオリン)
イザイ: 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ Op.27
第1番 ト短調/第2番 イ短調/第3番 ニ短調/第4番 ホ短調/第5番 ト長調/第6番 ホ長調
イブラギモヴァは今回はじめて聴いた。覚えにくい名前なので漢字にしてみると、『伊武楽技喪婆』とこんな感じか。聴いてみた感じではロシア人らしく力強い『武』と鋼の技術力『技』のイメージがある。この人の場合は、音量が豊かなので室内楽よりもオーケストラ相手の協奏曲の方が映えると思う。
さてイザイ無伴奏ソナタに関しては、何回か書いているが強いコダワリがあるので、満足できる演奏はほとんど聴いたことがない。今まで生演奏で聴いたかぎりでは、女王ヒラリー・ハーンと妖精クラマジラン、テツラフのみが及第点である。他、期待できそうな演奏家としては、トーマス・ツェートマイヤーとパトリツィア・コパチンスカヤであるが、いつか聴いてみたいと思う。あとは上級者用メソッドと弾いてしまう演奏者がほとんどである。今回も残念ながらそのような演奏であった。特に3番は、コンクール御用達のような曲なので、大抵のプロヴァイオリニストならうまく弾くことができるが、ただそれだけの話しである。
この曲を演奏するにあたって、献呈者の演奏スタイルを取り入れる必要があるのではないかと個人的に考えている。1番は、シゲティに献呈されているが、シゲティはそれほど上手いソリストではなかったのだが、技術を補う考える演奏をしていた。つまり、百戦錬磨な戦士が晩年に語る鬱積多き人生譚のような、ぽつり、ぽつり話していながら、決め所では、いきなり強調するような唸りが必要で、技術的にある程度傷のあるくらいの演奏の方が説得力があるのではないかと。
第2番は、ティボーに献呈されている。ティボーといえば、ポルタメントを多用した歌だ。現在では下品とされている表現でもこの曲では持ってくる必要があるのではないかと。
第3番は、エネスク。ルーマニアの大バイオリニストでありかつ作曲家。バイオリニストとしての腕は、晩年の録音しかないので、よくわからないが、作曲家としての作品はたくさん残っている。この曲はフランス風に演奏されることが多いが、エネスクの作品のなかにある複雑性にチャレンジしてみる価値はあると思う。
第4番は、クライスラー。私はこの4番は、正直なところ理解できていない。むしろ第5番の方がクライスラーという感じがする。
第5番、第6番は今では無名のマチュー・クリックボームとマヌエル・キロガ。私もよくわかっていないが、調べてみるといろいろとヒントになることが見つかるかもしれない。