バイオリンと録音と

クラシックのコンサート、バイオリンの演奏方法、バイオリンのグッズについての記事多し。他、楽譜(Lilypond , Sibelius)、和声学、作曲、DTM関連を取り扱っております。

2017年02月

『2本のバイオリンのための組曲』を登録しておきました。
https://drive.google.com/open?id=1ynOSxS_4CD97qe05fArVmIE9hvtV6TD5

Lilypond挫折危機回避メモ(クレッシェンド関連)

Lilypondにおいて、ヘアピン(クレッシェンド・デクレッシェンド)の位置を変更したい場合は頻繁に発生するのでメモを残しておく。

※ソースをつけておいたので、http://lilybin.com/のサイトにソースは張り付ければ確認できる。
 #のところのパラメータを適当に変更して遊んでみれば間隔がつかめると思う。 

● 回転させる
 Hairpin.rotationを使って回転させる。パラメータは3つあり。
 回転角度 , 回転の中心(x)  回転の中心(y)
 
 ヘアピンの回転
\relative {
  \time 3/4
    c'16\< (d dis a')\!
    \once \override Hairpin.rotation = #'(8 0.5 0)
    gis \> ( b dis e)\!
    \once \override Hairpin.rotation = #'(-10 -0.5 0)
    b'\<(gis e b)\!
}
●垂直位置を変更
 五線とヘアピンの間隔を広げたいことはよくある。
Hairpin.Y-offsetで変更する。

ヘアピンの垂直位置変更
\relative c'' {
  \time 3/4
    c,16
  \< (dis e gis)\!
  \once \override Hairpin.Y-offset = #-6
  c,\<(d dis a')\!
  \once \override Hairpin.Y-offset = #-10
  c,\<(d dis a')\!
}

●ヘアピンの幅変更
 -\tweak minimum-lengthを使う。このコマンドはタイ、スラー、フレージング・スラーにも使えるので便利。
ヘアピンの幅変更
\relative c'' {
  \time 3/4
    
  \override Hairpin.Y-offset = #-6
  c,16\< (dis e gis)\!
  c,
  -\tweak minimum-length #20
  \<(d dis a')\!
  c,
  -\tweak minimum-length #30
  \>(d dis a')\!
}
● ヘアピンを広げる
 -\tweak heightを使ってヘアピンを広げる。

ヘアピンを広げる
\relative c'' {
  \time 3/4
    
  \override Hairpin.Y-offset = #-6
  c,16\< (dis e gis)\!
  c,-\tweak minimum-length #20
  \<(d dis a')\!
  c,
  -\tweak minimum-length #30
  -\tweak height #1.5
  \>(d dis a')\!
}

 

Preghiera再び

本日、予約注文していたクレーメルさんのCDが届いたの早速聴いてみた。

最近は、ネットで聴いているので、CD購入は久しぶりのことであるが、もっとハイビットレートな音源で聴きたくなるような静寂な美しさの演奏であった。

PreghieraのCD


Preghieraについては、何回かこのブログで熱く語っているので重複したことはかかない。やはりこの曲は、バイオリニストの定盤レパートリーにすべき作品なのだと確信した。ただピアニストの腕は相当にすごくないといけないし、それに負けない音色をもつバイオリニストならという条件付である。

今回、びっくりしたのは、このダリール・トリフォノフというピアニスト。今までのラフマニノフの演奏i家はなんだったのだろうと思うくらい次元の違うピアニズムで、特にスラーのフレージングが究極に美しい。ミケランジェリすらも霞むくらいの指コントールである。あまりにも美しい独特な響きにより普通のピアノでないことはすぐにわかったので、調べてみると、ファツィオリF278をつかっているらしい。このピアノメーカーはクラシックマニアなら誰でもご存知のはずだが、大型のコンサートホール専用で4本ペダルのファツィオリF308より小さいコンサートホール専用のグランドピアノである。こちらは通常の3本ペダルである。でもこのあまりにも美しい弱音のサスティーンはもしかしたら、第四ペダルの特注かと思ったしだい。

サイトの説明によると

このペダルはファツィオリによって開発され、特許も取得しております。従来のシフトペダルは音色を変化させるだけですが、このペダルは音色を変えることなく音量のみが小さくなります。これはハンマーと弦との距離が近くなり、なおかつ鍵盤の深さも浅くなることから生まれます。これにより速いパッセージとグリッサンドが可能になります。

*F308は通常の3本ペダルと4本ペダルの2つが標準装備ですが、他のモデルはオプションにより設置することが出来ます。

 まあこの仕掛けを使わなくとも、トリフォノフの超実力なら全然問題ないが、この弱音を出せるのは世界的にもほとんどいないのではないのかなあ。あるいは調律師のArno Stockerさんの技術がものすごいのかもしれないが、一つのピアノの完成形である。

ドビュッシー、ラヴェル先生、ラフマニノフのプログラムで来日してくるなら最優先で聴きにいきたいものである。コンサート会場としては、 フォッオリのおいてある豊洲シビックセンターホールがよいのだろうけど。

●追記
 このCD自体の録音はよく頑張っているのだと思うのだが、日頃からバイオリンの生音に接しているので、クレーメルさんのバイオリンは録音するとなんでこんなにやせるのかと思ってしまう。弱音が収録しきれていないので音が鋭くなるのかふっくら感もなくなる傾向にある。24Bit 96KHzでサラウンドが必要なのかなあ? もっと蕩けるような繊細さでアマティは鳴っているはずなのだが収録しきれていない。やはり生のコンサートホールで聴かないとクレーメルさんアマティの本物の美音は聴けないのであろう。

 それにCDだと、録音編集の影響を受けるのか予定調和の世界になりさがってしまう。演奏中に誰ともアイコンタクトせずに我が道をいく演奏、合わさずの美学による緊張感がなくなってしまう。音楽が突然にはじまってしまうコンサートホールでのキリキリとした凍結した緊張感を味わうには、生演奏にかぎる。特にクレーメルさんとか、ムローヴァのような演奏家はそうですよね。

●追記
 こんな記事を見つけました。フォッオリはマイ楽器なのかなあ。それならどこのコンサート会場でもOKか。ピーターゼルキンもそうでが、こだわるピアニストは持ち込み楽器を使うね。

 ダニール・トリフォノフ 2015年日本ツアー バックステージ
 

ぞ・ぞ・ぞ・ぞの斬新な日本語感覚

最近、面白いアニメのオープニング曲を聴いた。現在放送されている『昭和元禄落語心中』の『今際の死神』という曲である。この曲の斬新な日本語感覚にとても感心したしだい。曲想は古いシャンソン風の悲しい感じで、どこかで聴いた風のものであり目新しいものではないのだが、それも仕掛けのうち。油断していると以下の部分で刺されることになる。


人生はいつも揺らいでいる不確かな炎
燃え尽きてしまうぞ、消えてしまうぞ

この『しまうぞ』『ぞ』の部分にぞっとした。通常の歌詞なら『しまう』になるが、この『ぞ』があることで女が男を威嚇しているというか、刺し違える覚悟というか、逆説的に生きることへの意思というようなものが全面に出てくる。しかも音楽のメロディのなかではこの『ぞ』は演歌のように力強く発音せず、ドビュッシーのソステヌートのような感じで余韻を残しつつ上品にまとめているところに情念を感じる。よく考え抜かれた音楽表現である。しかも2回『ぞ』が繰り返されることで、感情のゆらぎ感も表現できている。


『ほ~う、日本語、畏るべし。たった一文字で世界が変わるんだ。さすが俳句の国なのである、。』


しかもありふれた曲調をベースにしつつも、この歌詞の部分にクローズアップされているのが見事。全部計算されて作られている。相当な腕のアレンジャーを雇ってきたのだ、ぞ。

似たような曲で、『へうげもの』のエンディング曲があるが、こちらも美しいがどこかの国のパクリのような感じにとどまっているのだ、。ここが『才能アリ』との圧倒的な差なんだ、
ということで、すごい。まいりました。
 

Lilypond挫折危機回避メモ(スラー関連)

Lilypondで譜面を作成するときによく使う修正方法についてメモをまとめてみた。今回はスラー編である。Lilypondで特に難しいのはオブジェクトの位置変更である。位置変更にはいろいろなやり方があるがどの方法が良いのかは現在試行錯誤中。間違いは随時訂正していくこととする。

※ソースをつけておいたので、http://lilybin.com/のサイトにソースは張り付ければ確認できる。
 #のところのパラメータを適当に変更して、マイナス値とかいろいろな数値を入れて遊んでみれば間隔がつかめると思う。 

 ●スラーの垂直位置変更
 Lilypondは最適な位置にスラーを描いてくれるので楽なのであるが、音型によっては形を変更したい場合がある。例えば、アクセントやテヌートが込み合っているところでスラーを描くとこのようになる場合がある。Slur.positionsで垂直位置を高くすることによって解消すればよい。
 
スラーの高さ変更
\relative c'' {
  \override Slur.positions = #'(4 . 5.5)
  a--->(b---> c--->
  d---> e---> f---> g---> f--->)
}

スラーの形状変更
回避方法 \shapeを使う。4つの引数はベジュ曲線のパラメータ。感覚ではつかみにくいのでいろいろと試行錯誤してみるとよい。

スラー形状の変更

\relative c'' {
    \once \shape #'((-1 . 0) (0 . 1) (0 . 3.5) (0 . 0)) Slur
    a--->(b---> c--->
    d---> e---> f---> g---> f,--->)
}
 
スラーの長さ変更
長さを変えたいスラーの『(』の前に『-\tweak minimum-length 』を使う。このプロパティ変更は、タイやビームにも利用できるので便利である。

スラーの長さ変更
\relative  { 
    g''2\pp (d~ 
    | 
    d4) e8
    -\tweak minimum-length #20
    (f g4 e8 d)
    |
    \tuplet 3/2 { e4(c e) } d2~( 
    |
    d bes4 d)
    |
}
 
タイの場合も同様にタイ『~』の前に『-\tweak minimum-length 』を使う。

タイの長さ調整
\relative  { 
    g''2\pp (d
    -\tweak minimum-length #10
    ~ 
    | 
    d4) e8 (f g4 e8 d)
    |
    \tuplet 3/2 { e4(c e) } d2~( 
    |
    d bes4 d)
    |
}

ハイフェッツのスケール・ブック

楽譜屋さんで、以下の凄い本を見つけた。

ハイフェッツスケールブック

これは、あのハイフェッツ道場で使われていた伝説の音階教本。詳しい内容はハイフェッツの高弟であるピエール・アモイヤル氏のインタービュー記事があったので掲載しておく。

ついでに練習風景の動画があったので掲載しておきます。


う~ん。怖いぞハイフェッツ。



 


ということで楽譜屋さんで早速購入としようとしたが、米国の販売価格の2倍は高すぎるだろうということで、アマゾンで購入することにした。それにアマゾンだと不良品の返品も楽である。


購入時点では、3月末から4月初めくらいの入荷予定であったのだが、いつものアマゾンの七不思議が発動し、1週間を少したったばかりのころに「入荷したので発送しました」メールが届いた。『通常1~3か月以内に発送します。』という文言よりも早く発送されてしまうのが日常。恐るべきシステムである。

さて、音階教本マニアでもないけれども、今まで購入した教本が以下である。 
 

・小野アンナ教本
・カール・フレッシュ ヴァイオリン音階体系

・サイモン・フィッシャー:スケールズ

・革命的音階教本:玉木宏樹 (著)

音階教本

小野アンナ教本は、コンパクトによく纏められた教本で初心者から使えるのが良い。価格も安い。大抵の音楽教室で最初に使うのはこの本であろう。
なおアマゾンでのコメントをみると、「各調性の音階が並んでいるだけで注意書きや練習のポイントなどの記載はいっさいありません。」との指摘しておられる方がいたが、教本とはそもそもそういうものである。気持ちはわかるが先生の正しい指導を受けて練習しないと、以下のネット動画のようになる。

このお嬢さんは左手の親指の位置が適当なので音程が定まっていない。下手になるための練習を一生懸命にやっている。彼女の使い込まれた教本をみてカール・フレッシュ先生も苦笑していることだろう。

 
よい先生だとここまできめ細く教えてもらえる。



こちらの先生はボーイングとシフティングについて詳しく説明している。

 

正しく弾いた場合は、バイオリンの発音まで違ってくるのが不思議なところだ。先生を選ぶ基準として、音階を弾いてもらい音程が悪い人や、左手の形が乱れている先生のところで習ってはいけないと思う。
 

そういえば、この前のコンサートにおいて、廣海史帆さんも左手の形が美しく、そのため音程が安定していた。さすがに藝大卒だけのことはある。
 

サイモン・フィッシャーの方は、独学な人を救済する意味もあるのかどうかわからないけれども指の置き方まで丁寧に記載してあるので、この通りに練習すると音程が良くなる仕掛けになっている。ただ独学をする場合は、左手を撮影し、手首の角度とネックをおさえる親指の位置をよく見ておく必要がある。
 

カールフレッシュの音階教本はとてもよくできているので、この内容を超えるのは難しいと思うが、内容が高度なので指導者がいないと手に負えない。
いろいろな版が出版されており選択が結構難しい。私の場合は、山岡 耕筰編集のものを使っている。
 

革命的音階教本は、効率的な練習ができるとのことで購入したのだが、運指がまったく書いておらず当時の私の実力では使えなかった。運指は自由に考えるべきとの著者の玉木さんのポリシーなのであるが、それは上級者の話であって初心者には型が必要なのであろう。
 

さて、ハイフェッツのスケールブックの特徴であるが、カールフレッシュに比較してボリュームがコンパクトなのに内容が充実しているのがよい。重音系スケールのパターンがカールフレッシュよりも充実している。特に、四度重音スケールが入っている意味は大きく、バイオリンのピタゴラス音律を正確にとる意味でもとてもよい練習になる。
 

四度重音


それとハーモニックス系スケールも充実。最近、これはいいなあと思っており、毎日の練習に取り入れているが、ハーモニックスの場合、小指の位置を正確にあわせないと音が鳴らないので1指―4指の間隔を掴むのによい練習になる。やってみて、E線上でのハーモニックス系スケールが結構難しく現在苦戦中。5度で押さえる1指―4指、1指―3指のハーモニックス系スケールになるとさらに音程にシビアになるので、これは非常に難しい。
 

ハーモニックス

音階に練習に1時間をあてる余裕があるのであれば、カール・フレッシュの1番をやった後で、ハイフェッツの三度、六度、四度、オクターブ、十度をやり、仕上げにハーモニックスをやるという感じかなあ。余った時間で他に分散和音もやる。これだけでも1時間はすぐに超えてしまうので、時間のない場合は、スケールを1~2オクターブに短縮して丁寧に練習する方がよいかもしれない。

総合的な印象として、ハイフェッツのスケールブックは課題のバランスがよい音階教本なので使いやすい。

スケール練習では、シフティングが重要なのであるが、 山岡先生のカールフレッシュ教本によると、シフトするときは素早くスライドしたときの音がわからないようにとの指導が書いてあるが、ハイフェッツの教えでは、1指を基準にしてゆっくりとスライドさせ親指ごと滑らせること。そのときに手の形が崩れないようにとのこととある。山岡先生の場合は、その次の段階の指導なのだろうなあ。このまま鵜呑みにすると手の形が崩れていまう。やはり正しい指導を受けることが重要なのだろう。

シフティング練習としてちょうど良い動画があったので貼り付けておく。

 

さらに上級者になるとこのくらいのシフティングのコントロールができる。 ローポジションからハイポジションまで左手親指がしっかりとガイドしており実にスムーズである。こういう左手をイメージしておくと上達が早いと思う。

 


亡き王女のためのパヴァーヌを弾いてみよう

最近、ラヴェル先生の新しい楽譜が発売になったようで、早速手にいれてみた。


Recueil pour violon 1

ヴァイオリン曲集1

出版社:Durand

\3,080


ラヴェルバイオリン集表紙ラヴェルバイオリン集目次



『子供と魔法』、『マダガスカル島民の歌』などの歌曲の編曲や、ピアノ協奏曲の編曲などの珍しい曲がいろいろと曲が入っていてお得。曲の解説やラヴェル先生の写真が多く掲載されいることもグットポイントなのであるがバイオリンパート譜がとても貧弱である。ボーイングや指番号が掲載されておらず、スラーの付け方もバイオリン向きではない。第二巻も予定されているらしいが、バイオリニストに監修してもらいたいところである。

この第一曲目は、亡き王女のためのパヴァーヌであった。難易度は鈴木教本の4巻くらいなのでビギナーでも挑戦できる。しかしながらシンプルな曲をしっとりと聴かせるのは実は大変難しい。特に同じ旋律が何回も出てくるので、ポジションを変更するなどの工夫をした方が良いであろう。

この曲に関しては、コハンスキーの編曲版があるが、G線が多用されており、さらに技巧的ハーモニックスや重音ピチカートが入るので難しい。特に技巧的ハーモニックスは、少しでもずれると目的の音が鳴らないので難しいが、日課としてほんの少し練習するだけでも随分と音程が良くなる効能がある。

ということで、コハンスキーの編曲版の要素も少し取り入れつつLilypondでバイオリン譜面を作成してみた。
※changePitch.lyというSnippetを組み込んでいるので、これを組み込む必要がある。

 ちなみにコハンスキーはシマノフスキーのバイオリン協奏曲第1番、第2番の初演者。弟は日本の音楽界の基礎を築いたレオニード・コハンスキー。井口 基成、中村紘子の先生だ。


●練習用(速度一定 ♩=54)
 バイオリンの音をチェンバロで代用。バイオリンと同時に演奏してみて、チェンバロの音が消えたらリズムと音程が正しいということになる。難しければ、最後の高音域は1オクターブ下げて演奏してもよい。


●演奏会用
 ラヴェル先生のご本人の演奏を参考にテンポを作成。cédezでない部分でもそうなっているのが面白い。全般的にテンポ変化が著しい。
 同じ旋律が何度も出てくるので、変化をつけながら弾くことになる。ポジションを変更するのも有効。
 


●追記


 亡き王女のためのパヴァーヌのような微妙な速度変化を要求する楽譜をみていると、日本語はつくづく残念な言語であるというのを痛感する。音楽用語辞典によるとcédezは『だんだん遅く』とある。cédezには『Cédez le passage.』 (セデ・ル・パッサージュ 道を譲れ)の意味の『譲る』の意味があると考え、譲るときは速度は遅くするが、譲り終わったら元の速度に戻すという意味を考えて、『次のテンポも考慮してだんだん遅く』という意味になると思うが、さりとて適切な日本語があるわけでもないのが残念だ。
他に『だんだん遅く』と意味の楽語はこんなにある。

だんだん遅く 伊 apocopiulento アポコピウレント
だんだん遅く 伊 accrescendo アックレッシェンド
だんだん遅く 伊 allentando アッレンタンド
だんだん遅く 伊 allentato アッレンタート
だんだん遅く 仏 cédant セダン
だんだん遅く 仏 céde セデ
だんだん遅く 仏 céder セデ
だんだん遅く 仏 cédez セデ
だんだん遅く 伊 lentando レンタンド
だんだん遅く 伊 rafferenando ラッフレナンド
だんだん遅く 仏 ralentir ララティール
だんだん遅く 仏 ralentissant ラランティッサン
だんだん遅く 仏 ralentissez ラランティッセ
だんだん遅く 仏 retarde ルタルデ
だんだん遅く 仏 retaeder ルタルデ
だんだん遅く 仏 retardez ルタルデ
だんだん遅く 伊 ritardando(rit.・ritard.) リタルダンド
だんだん遅く 伊 slargando ズラルガンド
だんだん遅く 伊 slentando ズレンタンド
だんだん遅く 伊 stiracchiando スティラッキアンド
だんだん遅く 伊 stiracchiato スティラッキアート
だんだん遅く 伊 stirando スティランド
だんだん遅く 伊 stirato スティラート


フランス語は、日本語にない母音が多いので日本人にとって発音とヒアリングが超絶技巧的に難しい。そもそもフランス語の発音をカタカナで表記することはできない。悔しいが、ラヴェル先生、ドビュッシーの音楽を演奏する上で影響あると考えられる。『亡き母音のためのパヴァーヌ』にならないように演奏したいところだ。

●バイオリンのパート譜面(Lilypond ソース)
 
 いつも言っていることだが、ボーイングや運指は自由に変更できるので、積極的に修正しながら使っていってほしい。 lilypondの使い方はこのブログに詳しく書いておいたので参照のこと。またくれぐれもchangePitch.lyの組み込みをお忘れなく。 


\version "2.18.2"



% パターンで入力するときに便利なスニフレット

\include "changePitch.ly"

% ---------------------------------

% 全体設定

% ---------------------------------

% 譜サイズを変更する場合。通常値は20

#(set-global-staff-size 23)


\header {

  title = "亡き王女のためのパヴァーヌ"

  subtitle = "Pavane pour une Infante défunte"

  subsubtitle = ""

  composer = "Maurice Ravel"

  tagline = ##f

}


% 文字系各種

SULG=\markup { \small "sul G"}

SULD=\markup { \small "sul D"}

SULA=\markup { \small "sul A"}

SULE=\markup { \small "sul E"}

bu= \upbow

bd= \downbow

one= \markup { \center-align \tiny "I"}

two= \markup { \center-column {\tiny "II"}}

tree= \markup { \center-column {\tiny "III"}}

four= \markup { \center-column {\tiny "IV"}}


CRE=\markup { \left-align \italic \tiny "cresc."}

GC=\markup  { \left-align \italic \small "grazioso scherzando"}

PMM=\markup { \left-align  "Poco meno mosso"}

PR=\markup  { \left-align \italic \tiny "poco rit."}

TI=\markup  { \left-align  "Tempo I"}

RIT=\markup { \left-align \italic \tiny "rit."}

CED=\markup { \left-align \italic \tiny "cédez"}

UPR=\markup { \left-align \italic \tiny "un peu retenu"}

% トレ・アン・ムジュール 拍子を正確に

TEM=\markup { \left-align \italic \tiny "très en mesure"}


% アン・エラルジサン   だんだん遅く

EM=\markup { \bold "En mesure"}


% アン・エラルジサン   だんだん遅く

EE=\markup { \left-align \italic \tiny "en élargissant"}

% トレ・ロワンタン とても遠くから

TL=\markup { \left-align \italic \tiny "très lointain"}

% プルミエール ムーヴマン はじめの速さで a tempo

PM=\markup { \left-align \bold  "1er Mouvement"}

% ルプラン もう一度

RP=\markup { \left-align \italic \tiny "reprenez "}

% アン・プゥ・プリュ・ラン 今までより少し遅く

UPPL=\markup { \left-align \italic \tiny "un peu plus lent"}

% トレ・グラーヴ とても重々しく

TG=\markup { \left-align \italic \tiny "très grave"}

% ルプラン・ル・ムヴマン もとの速さに戻して

RLM=\markup { \left-align \bold "Reprenez le mouvement"}

% だんだん遅くしながら大きく

EEB=\markup { \left-align \italic \tiny "en élargissant beaucoup"}

%ラルジュ ゆったりと遅く

LA=\markup { \left-align \bold  "Large"}

% トレ グラーヴ とても重々しく

TG=\markup { \left-align "Très grave"}

% アン エラルジサン ボークー だんだん遅くしながら大きく

EEB=\markup { \left-align \bold "en élargissant beaucoup"}


global = {

  \key g \major

  \time 4/4

  \tempo "Très doux,mais d`une sounrité large." 4 = 54

  % かなり柔らかく, でも幅広くよく響く音で。

}

%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%

violin = {

  \global


  % M01

  g'2-1\p^\bd~g'8 a'\bu(fis'-4 e') 

  | % M02

  d'4 e'8 (fis') fis'(e') e'4

  | % M03

  b'2-3\bd~b'8 c''\bu(a'-2 g'-1

  | % M04

  fis'4-1) g'8(a'~a') b'\bu(g' fis'

  | % M05

  e'4-1) fis'8( g'~g') a'(fis' e')

  | % M06

  fis'2  

  \once \override BreathingSign #'text = #(make-musicglyph-markup "scripts.rvarcomma")

  \breathe

  

  r8\mf^\four \once \slurDashed a'-4_-_\CED \bu( fis'_- e'_-

  | % M07

  fis'_-) r-\tweak #'script-priority #0 ^\tree b'2-2\>   \bd b'4

  | % M08

  b'2\!\p^\EM ~b'8 a'\bu(<d''-0>-4 b'-3)

  | % M09

  b'4^- a'^- g'^- a'^-

  | % M10

  e'2-3~e'8^\UPR d'__\p g'-1__ fis'__

  | % M11

  e'8 r^\tree b'4-3_\EE^-\f\bu fis'-3^\four_- e'-2_-

  | % M12

  fis'2-3_- r \bar "||"

  | % M13

  fis''4-2^\pp\bd (g''~ g''8) fis''\bu(g'' a'')

  | % M14

  d''4-2(cis''~cis''2)

  | % M15

  d''4-2\bu(e''~e''8) d''-1\bd(e''-2 fis'')

  | % M16

  b'4-3(a'-2 fis'2-4)

  | % M17

  \once \override Hairpin.Y-offset =#-10

  a'4-2 (b'~b'8)\<a'-1 (b'-2 cis'')\!

  | % M18

  fis'4-3\mf\bd( e'4~e'8) d'-1_-\bu e'_-\bd fis'_-\bd

  | % M19

  \time 2/4

  e'4^-\bu\>(d')^-\! \bar "||"

  | % M20

  \time 4/4

  fis''4-1^\one \ppp (g''~g''8) fis''( g'' a'')

  | % M21

  d''4-3( cis''~cis''2)

  | % M22

  \once \override Hairpin.Y-offset =#-2.4

  d''4-1\bu\<(e''~ e''8) d''( e''-1 fis'')\!

  | % M23

  b'4-3\> (a'-2 fis'2-1)\!

  | % M24

  a'4-1\pp\bd \<(b'~b'8) a'-1 (b'-1 cis'')\!

  | % M25

  fis'4-3(e'~e'8)d'-1__ e'__ fis'__

  | % M26

  e'4\>(d'8)\! r8^\four\f fis'4-3^>\bu_\UPPL e'^>~

  | % M27

  e'8 d'^> e'^> fis'^> e'4\>(d'\fermata)\!

  \bar "||"

  | % M28

  g''2-3^\two\p^\RLM ~g''8 a''( fis'' e'') 

  | % M29

  d''4-1 e''8 (fis'')fis''(e'')e''4

  | % M30

  b''2-2^\one~b''8 c'''(a'' g''-4

  | % M31

  fis''4) g''8( a''~a'') b''( g'' fis''

  | % M32

  e''4 ) fis''8-2( g'' ~g'') a''( fis'' e'' )

  | % M33

  fis''2 r8^\tree\mf a'_\CED^-\bu ( [fis'^- e'^-]

  | % M34

  fis'^-) r^\one b''2-2\bd\p~b''4\bu~

  | % M35

  b''2\bd~b''8 a''( d'''-4 b'')

  | \pageBreak

  % M36

  b''4^-\bd a''^- g''-2^-^\two a''^-

  | % M37

  e''2-1\>~e''8\pp\! d''_\UPR-1^_ g''-4^_ fis''^_

  | % M38

  \override BreathingSign #'text = #(make-musicglyph-markup "scripts.caesura.straight")

   e''4^_ \breathe b'-1^>\ff\bd^\LA d''^> \tuplet 3/2 { c''8^> b'^> a' ^>}

  | % M39

  <fis' b'>2^>~q4 r8^\two g''-4~\pp\bd

  | % M40

  g''8 g''4^_  g''^_  g''^_  g''8^_~

  | % M41

  g'' g''(f'') r^\one f'_2_.\bd  a'-4_. f'_. d'_.

  | % M42

  \tuplet 3/2 { f'_.\<     

                ( a'_0 _. d''_1_.) } e''4-2^>~\!

  e''8 f'-2_.[ a'-0_. d''-1_.]

  | % M43

  e''4^> ~ \once \autoBeamOff e''8 e''(c''2-4)~

  | % M44

  

  c''8\pp \<es''4-2^_\bu 

  es''^_\!  

   \once \override Hairpin.Y-offset =#-2 

  es'' \> es''8^_[~

  | % M45

  es''] es''^_\bu (d'') \! r bes'-3^_ d''-1^_ bes'^_ g'-1^_

  | %M46

  \tuplet 3/2 { bes'-1\<(d''-3 f''-1)\! } a''4-3\f~a''8 

  bes'-1^>\ff\<d''^> f''^>\!

  | %M47

  a''4\sf\bu\!~\once \autoBeamOff a''8 a''(f''4)\> r8 es''-2( 

  | %M48

  c''4-4) r8 bes'-3\bd (g'4-1\p)\! e'-3

  | %M49

  \time 2/4

  fis'4-4^- g'8-1 g''-4(

  | % M50

  \time 4/4

  g''8\pp) g''4^.\bu g''^. g''^. g''8~

  | % M51

  g'' \> g''[(f'')] r^\tree f'-2_. a'_. f'_. d'_.

  | % M52

  \tuplet 3/2 { \stemDown f'8\< (a' d''-1)\! } 

  \stemNeutral e''4\!~e''8\! f'-4^\four_.\< [a'-2^\tree_. d''-1_.]\!

  | % M53

  e''4^>\bu ~e''8 [e''](c''4)~c''8 c''\bd~(

  | % M54

  c''8\p es''4 es''^. es''^. es''8~[

  | % M55

  es''] es''4) r8^\tree bes'-1^- d''-3^- bes'^- g'^-

  | % M56

  \tuplet 3/2 { bes'8-1\< (d''-3 f''-1) \!} 

  a''4\bu\sf~a''8 bes'8^>\< d''^> f''^>\! 

  | % M57

  \autoBeamOff

  a''4~a''8 a'' (f''4) r8 es''\bu (

  \autoBeamOn

  | % M58

  c''4-4^-\!) r8 bes' (g'4_-) e'-1_-\p^\four 

  | % M59

  \time 2/4

  fis'4-2^\TG_- g'-3_-\fermata

  \bar "||"

  | % M60

  \time 4/4

  g''2-3^\two^\PM \mf~g''8 a''( fis'' e'')

  | % M61

  d''4 e''8-1(fis'') fis'' (e'') e''4

  | % M62

  b''2~b''8 c'''(a'' g''

  | % M63

  fis''4) g''8( a''~a'') b''( g'' fis''

  | % M64

  e''4)fis''8( g''~g'') a'' (fis'' e'')

  | % M65

  fis''2 r8 a'_\CED^-\bu ([fis'^- e'^-]

  | % M66

  fis'8) r  b''2-2\bd\>~b''4\bu\glissando

  | % M67

  b'''2-4\bd~\pp^\RLM\!~b'''8 \ottava #1 a'''-2( d''''-4 b'''-3)

  | % M68

  b'''4^--3 (a'''-2^-) g'''^- (a'''^-)

  | % M69

  e'''2-3~e'''8 

  \once \override Slur #'staff-position = #1

  d'''-1__\pp ( g'''__ fis'''__)

  | % M70

  e'''4\bu^.\ottava #0 \breathe b'^\EEB^_\f\bd\<d''^_ 

  \tuplet 3/2 { c''8^> b'^>\bu a'\bu^>

                \once \override BreathingSign #'text = #(make-musicglyph-markup "scripts.caesura.curved")

                \breathe }

  | % M71

  <b fis' b'>2\p\> <e'-1 a'-4\harmonic>4 (d'-3\harmonic  )


  | % M72

  <g'_1 c''_4\harmonic>2\fermata r2\!

  |\bar "|."

  

}


violinPart = \new Staff \with {

  %instrumentName = "Violin"

  midiInstrument = "violin"

} \violin 


%showFirstLength = R1*22

%showLastLength = R1*8

\score {

  <<

    \violinPart\accidentalStyle Score.modern-cautionary

  >>

  \layout {

    % 第一小節にインデントをつけない設定にしている。

    indent = #0

  }

  \midi {

    \tempo 4=100

  }

}

分割炸裂、踊るテオルボ

本日、楽しみにしていた分割鍵盤のコンサートへ行ってきた。

2017年2月7日
スタジオ・ヴィルトオーゾ

はじめよう!コンティヌオ・ギルド
〜十七世紀イタリアのヴァイオリン音楽を彩る通奏低音の世界〜

テオルボ 坂本龍右
チェンバロ 山縣万理
バロック・バイオリン 廣海史帆
 
フレスコバルディ:スピネッティーナとヴァイオリンのためのトッカータ
カントとバッソのためのカンツォーナ「ニコリーナ」
カプスベルガー: トッカータ第二番「アルベッジャータ」
ビアンチャルディ:ファンタジア第三番
ピッキ:パッサメッツォ
クァリアティ:ヴァイオリンとテオルボのためのトッカータ
カステッロ:ソプラノのためのソナタ第一番

〜休憩

ウッチェリーニ :ヴァオリンソナタ第八番
作者不詳(モデナの手稿譜)テオルボのパッセージ
パスクィーニ:バッサガッリ
コレッリ:ヴァイオリン・ソナタ第四番

今回、初めて行く新大久保のコンサート会場。なんか怪しい感じでワクワク感がある。地下1階にあり客席数は80人くらいかなあ。1時間前に到着したのだが、すでにチケットはソールドアウト。まあ、よくこれだけマニアックな人達が集まったものだ。会社員、主婦が多かったが学者ぽい人や音楽評論家も来ていた。若い人も結構来ていた。それだけ関心が高いンサートだったのだろう。

スタジオ


受付嬢の方も大変マニアックな方で、ピュタゴラスコンマとかシントニックコンマの話がわかりますかと尋ねてこられたので「ウェルカムです」と回答したところ、「こんな本があるんですよ」と見せてくれたのがこれ。この本に内容にびっくり仰天。調律のカタログ集で、108種類の調律法が記載してある。もちろんピーターゼルキンの1/7SCミーントーンも記載してある。音律マニアなら絶対に欲しい本。こんなの世界中の音楽図書館にも存在しない。その道のプロもびっくりの超絶にエグイ内容の本であったのだ。こんなのが日本にあるのか!!。もちろん即購入した。でもタイトルが『小さくってもドデカゴン』??

「ファーイ・ジャパニーズピープル。マニア過ぎるだろう!」

と叫びそうになったくらいだ。

調律方法1

こちらで取り扱っているとのこと。
『小さくってもドデカゴン』

さて肝心のコンサートの方だが、実に楽しいものであった。
馴染みのない曲がほとんどなので、ミーントーンの心地良いサウンドのため途中で寝てしまわないかと心配であったのだが、全然そんなことはなく、変化に富んだ曲が多かった。プログラムのバロック初期から後期と並べてくれていたので、サウンドの移り変わりも楽しめた。特にバイオリン奏法の進化の歴史がよくわかった。

今回は驚いたのは、バイオリン奏法で、フレスコバルディの時には、古い絵画にあるような胸の乳首より少し下あたりにバイオリンを付けて弾く奏法を採用していたこと。古楽の演奏家でもここまで忠実に奏法を再現する人は少ない。この奏法だと、ポジション移動が困難になるためほとんどファーストボジションで弾く奏法になる。また弓も非常に短い。利点は、バイオリンを顎に付けないので歌いながら弾けると言うくらいかな。それがコレッリまで来ると随分とハイポジションを使うようになり、弓も長いものを使うようになってくる。進化しているのが良くわかる。

発見というわけではないが、ウッチェリーニ のヴォイオリン・ソナタは小技を適度に散りばめており良い感じだ。名前も相撲の決まり手の『うっちゃり』に似ているし親近感がある。廣海さんの演奏は、少々おおとなしいかな。マンゼがやるような大胆装飾を取り入れるなりするともっと良い感じになると思う。

一方の坂本さんの演奏は、やりたい放題な感じで、テオルボの存在を随分とグイグイと聴かせていたので楽しが伝わって来る。実はテオルボはテノール歌手の伴奏に向けに開発されて来たが旋律楽器としても向いているのですよと、後から解説があった。

テオルボ

さてメインデッシュの分割鍵盤だが、違和感のある半音階音律と美しい和音攻撃で、脳が撹拌されているような刺激がある。中世という感じの怪しげな響きは魅力的。奏法上の問題でこうした分割鍵盤が使われなくなったのはもったい気がする。『現在の演奏者なら全然平気よ』と、山縣さんにが楽々弾いているのを見ると、こうした楽器もどんどんと復活してくれば良いなあと思った次第。現代の作曲家から見ると随分と可能性のある楽器と思う。


分割鍵盤フロント

分割鍵盤リア

全体的に各楽器間の音量のバランスも最適であった。お客様が増えていくのは良いこと。今後はトッパンホールあたりでも演奏して欲しい。

蛇足になるが、演奏服はせっかくその時代の楽器を使って音楽をやるのだから、服装もその当時の服に合わせてくれた方が雰囲気が出て良いと思った。雰囲気も音楽演奏では重要ですからね。日本の演奏家は服装に無頓着な人が多いので、海外の演奏家と比べて随分と損していると思う。イザベル・ファースト、ムローヴァ等、一流どころの海外のバイオリンの女流奏者は斬新な服装をしてますからね。その服装とともに記憶が残っているものである。

 

音律マニア必見、分割鍵盤

チェンバリストの山縣万理さんからメールが届いた。分割鍵盤による演奏会を開催しますとのこと。
これは、私の方から連絡をお願いしていた件で、1年ぶりに実現ということになる。

分割鍵盤とは、1オクターブを15分割、16分割、19分割した鍵盤のことであり、ヘンデルも愛用したとのことである。分割する理由は、当時の主流であったミーントーン調律で発生する広い五度を解消するためである。広い五度は音程的に激しい不協和音になるため、広い五度が発生する曲では使えなかったのである。これを解消するには鍵盤を増やしてしまうということで、B(ベー)とAisの音程、GisとAs、DisとEsにそれぞれ違った高さの音を割り当てることによって曲を弾けるようにしたのである。

難しく書いてしまったが、要するに皆さんの大好きな『純正三度』をより的確に表現でする手段の一つが分割鍵盤である。ただし、演奏が難しくなることもあって今日では廃れってしまったとのこと。これに挑戦する人は、古楽が流行している21世紀になってもなかなか出てこなかったのだが、ようやく挑戦者が出てきた。それが山縣万理さんである。

鍵盤楽器の「制約」を乗り越えて、追い求めます!

とのこと。

今まで聴いたことがない音楽。楽器の制約により真の意味で今まで正しく演奏されてこなかった曲が聴けます。幸せのハーモーニー。それが今回のコンサートの狙いになる。音律マニアは必見でございましょうということで紹介しておきました。私も聴きにいきます。
 
●分割鍵盤の解説
 
鍵盤楽器の挑戦は続く(山縣さんのブログから)

●コンサートのお知らせ


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