バイオリンと録音と

クラシックのコンサート、バイオリンの演奏方法、バイオリンのグッズについての記事多し。他、楽譜(Lilypond , Sibelius)、和声学、作曲、DTM関連を取り扱っております。

2018年01月

『2本のバイオリンのための組曲』を登録しておきました。
https://drive.google.com/open?id=1ynOSxS_4CD97qe05fArVmIE9hvtV6TD5

最近のデジタルピアノを弾いてみた

前回は、デジタルピアノに関する記事を掲載しておいたが、DTM関連の人たちとピアノの練習メインの人とでは購入観点が随分と違うのだろう。ということでデジタルピアノにピアノにも少し興味をもってきたので都内の楽器店を見学に行ってみた。

個人的に良いなあと思ったのは、やはりヤマハのアバングランドシーズで、N2がスタイル的に好み。楽器店の方でも、N1よりもN2が売れているらしい。ただし、100万円越えだし、近々のうちにN2Xが出そうな気がするよね。これに対抗して、カワイもNV10を最近、出してきたので試弾してきたのだが、タッチ的、音響的にもヤマハの方が高級感があると思ったね。N2のレベルを超えるのはなかなか難しいだろう。

デジタルピアノは、リバーブが入っていると全然わからないのでリバーブを切ってみると、その違いというのがよくわかった。特にアバングランドシーズは、ピアノの雑に弾いても高級感のある音になるのが凄いと思うのだが、ピアノの練習者にとってはそれはありがたくないということになるかもしれない。


やはり、問題は価格だよね。デジタルピアノに50万円以上出す気にはならない。そこで、30万円~40万円台も調べてみた。この価格帯というのは、売れ筋系なのかな、店員の機種押しが激しい。


まったく興味がなかったのだが、その道のマニア道をまっしぐらという感じの熱い漢系店員さんからお呼びがかかったので話を聴くとことにした。やはりマニアはマニアがわかるのだろうか。漢店員のいうところの売りは、ヴェロシティ値に対応するダイナミックレンジの広さだそうだ。その熱い超絶技術系トークを少しばかし軽くかわしておくかということで、ピアノ調律系の難しい質問を出しておいたのだが、ビシバシと淀みなく応えてくれたのが素晴らしい。「ほ〜う。やるな。」ならばということで、半信半疑であったのであるが弾いてみたら驚いた。

「なかなか、いいんじゃないか。これは。」

感心したのは、ベルリン・グランド(ベヒシュタイン)、ハンブルク・グランド(スタインウェイ)、ウィーン・グランド(ベーゼンドルファー)という世界三大ピアノをうまくサンプリングしている点。3つとも個性が際立っており、曲によって使い分けできそうな点である。弾いていてとても楽しい。ピアノのタッチに関しては好みがあるけど、欧米のピアノタッチ感に似ており、とても軽く少々バネぽい感じなんだよね。ボストンピアノのタッチに似ているかなあと思った。

気になったので調べてみると、このような動画が見つかった。生のグランドピアノとGP-500BPをなんとベルリンフィルハーモニーホールで弾いている。宣伝とはいえ、なんとチャレンジグな試みなのだろう。



ただ、中級者以上のバイオリン弾きにはこの差は明確、明瞭にわかるよね。アタック感がぜんぜん違う。均一的で硬い。この部分はピアノハンマーの特質という微妙なところでサンプリングを超えたAI的な微妙なコントロールが必要なのかもしれないね。



こちらは、お嬢様さま店員が丁寧に説明してくれた。この機種にはホワイトもあるんだと感心。アップライトタッチということでN1,N2系のタッチとは違うが、これはこれで弾いた感じがよい。あと前の機種のNu1よりもダイナミックスレンジ幅が広くなったような気がする。全体的にうまくまとまった感じである。ヤマハ製品を買う利点としては、部品をストックしてくれる年数が長いこと。20年くらいなら大丈夫そうだ。店員さんもその点を強調していた。


こちらは、ピアノプレイヤー系のお姉さま店員がマニアックに説明してくれた。この製品の場合は、サンプリングではなく物理音源なのでタッチがスムーズ。そのため、下手に弾けば下手に聴こえ、うまく弾けばうまく聴こえるので、ピアノ練習用にはこの製品がイチ押しとのこと。カシオなんかは、グランドピアノ鍵盤特有の引っかかり、押し込みを表現できていないが、こちらはできていることを強調。でも、音色的にはデジタルチックで魅力が乏しい気がするなあというのは正直な感想。



オンキョーとのコラボということで、派手に宣伝していたので気になっていたデジタルピアノ。タッチに関しては、ややバネッぽく少し重いかなあと思うけど、カワイのグランドピアノのタッチもそんな感じなので、カワイ系の人はこちらが好みだろうね。上部にあるスピーカーの位置がグランドピアノとおなじ方向になるようにしてあるので自然に聴こえるとのこと。音的にも斬新という感じは薄く少し期待はずれ。よく言えば纏まっており価格相応な音であると褒めることもできるんだけど。ただ、これは店の展示環境にも左右される評価だから一概には言えないけどね。

・Yamaha CLP-685PE、685B
この機種は黒鏡面艶出仕上タイプのものとそうでタイプがあり、鏡面の方が価格が高くなるけれども指が映るので良いですよとのこと。この機種の特徴は、鍵盤のタッチが独特で、おもりを入れている感じが良くわかる。トリルはかなりやりやすいが、グランドピアノとも違うタッチ感である。同じヤマハでもN1、Nu1Xとはまったく違うのが面白い。なぜかCLP-685の場合、グランドよりもアップライトの音色が気にいったけど。デジタルピアノとして価格相応によく纏まっているという印象であった。

で、感じた点など、

各機種とも、音色、ペダリング、鍵盤タッチ感が随分と違うので好みとなるだろう。

タッチやペダルに関しては、ヤマハ製品が洗練されている気がする。ただヤマハのC3Xなどのグランドピアノタッチに慣れているということかもしれないので、個人的な感想はあまりあてにはならないが。
この価格帯のデジタルピアノは、多数のスピーカーが付いているが、上の蓋をあけることができ、そこにスピーカーがある方がより自然に聴こえるのかなあ。このところはヤマハのN3Xが理想的なんだけどね。そうすると今度は図体が大きくなるし、設置が難しいところだ。あとリバーブによる音質差も大きいので選ぶときにはいろいろなバリエーションで弾かせてもらった方がよいかもね。

こちらの動画では、生ピアノとの差がほとんどつかないよね。やはりスピーカーの位置が重要なのかな。このへんになったらリファレンスなしでデジタルと生の差を目隠しであてるのが難しくなるね。
ピアノを弾く人は強打したときのバランスでわかるかもしれないがね。




 最後に、マニアック店員さんが多いので、そこに誘導されないように、目的をはっきりとしておかないと想定している別な機種を選んでしまうかもしれないので注意。弦楽器店の場合は、楽器は出会いということで特に強く誘導されることはないのだが。

想定:

1.ピアノ発表会でグランドピアノで弾く
 音で選ぶよりも鍵盤タッチを重視。安い価格のものでも良いものがあるのでそちらの方が良いかも。
 タッチやペダリングとかの最終仕上げはピアノレンタルスタジオのグランドピアノで弾くべきと思う。本物のグランドピアノも機種によって随分と違うので、発表会で使うものとなるべく同一なもので。

2.自宅で良い音で、ホームコンサートとか
 こちらはスピーカーが多くついていて臨場感がだせるとか、ピアノ音源の種類が多いとかが基準になるかな。私のようにバイオリンの自動伴奏として考えているのなら、楽器の音と調和がとれる音にするというのも基準になるよね。

3.野外でも弾く
 私の師匠はご邸宅のお庭で演奏会を開くことがよくあり、持ち運びが楽な軽いデジタルピアノを所有しておられる。最近のデジタルピアノは音が良いので、弦楽器と合わせても違和感は少ない。適材適所という感じかな。野外演奏では、調律を気にする必要がないのが最大の強み。

4.専門学校志望者
 こちらは、店員に尋ねるよりもご自身の師匠に尋ねるのが一番かと。

●追記

 ちょっといろいろ気になる点があったので、動画で確認してみるとよりピアノサウンドに近いのが、LX-17のような気がする。タッチコントールがうまい人の場合にその差が大きくでる。GP-500BPの場合は、コツンコツンとするアタック音と減衰がやや不自然で誰が弾いても同じように聴こえてしまう。プロの演奏が下手くそに聴こえる??。お店で弾いた場合は気がついてなかったのだけれども、録音では差が明瞭に出るのかもしれない。もし購入するのであればN1かNu1Xかなあ。N1X(未発売だけど)がそろそろ出てくる気がするので『待ち』もよい戦略かと。型落ちや中古で安く買うということもできるしね。正直な話、VPC1(音源:Vienna imperial、pianoteq)で十分という気がしてきた。



Vienna Imperial 健忘録


金曜日にVienna Imperialが到着したので、19:00ダウンロードを初めて土曜日の朝にダウンロード完了。早く終わってほっとする。モバイル回線だと1週間はかかるのだけれども、光回線を導入しおいてよかった。

46.7GBのダウンロードが済んだので、いつものヴィエナーキーへの登録とかVSLのサイトでのレジストレーションやら一通りの儀式が終わって動かそうとするもののDigital PerformerからVEPを呼び出し、そこからインストルメントをインサートしようと、Vienna Instrument Proを呼び出し、その画面からVienna Imperialを呼び出そうとしたのだが、そのリストに名前がない。

viennaには存在せず


『君の名は』
と尋ねながらPCを再起動したりしてみたのだが、Vienna directoryでインストルメントが入っているところを再認識させてみたりしたのだが、呼び出せない。


「う~ん。困ったもんだよね。 お約束のトラブルかな。」

と1時間くらい気長に調査してみた。


「わからない。 サポートにメールするか。」

とサポートに説明のための画面をキャプチャしていたところ、


「あら、ここに。

シャー専用


驚いたことに、Vienna Imperial専用のメニューがあったのであった。


「Vienna Instrument Proから呼び出すのではないんだ。シャア専用ということ〜。思い込みは危険だわ。」

とマニュアルを読まずに進めていた自分を一瞬、恥じるが、そもそもDPからVEPを呼び出し、そこからVienna Imperialを呼ぶなんていうマニアックなマニュアルはないので、こんなものかなあ。

ついで、ピアノ音源の比較でもするかということで、以下のようなVEP布陣にしておいた。
正規空母2、軽空母1、補給艦1という感じかな。


VEP初期設定


Vienna Imperialの画面は何とシンプルで、以下の3つのみ。

Close、Player、Distant

Imperial初期画面


これくらい潔いといいよねと思ったのだが、「Advanced」というタブがあり、触れてみるとFACTORY PRESETというメニューがある。そこでは以下が選べるようである。


00 Empty:
01 Close:  デフォルト(リバーブ無し)
02 Player: デフォルト(リバーブ無し)
03 Distant: デフォルト(リバーブ無し)
04 Distant Concert Piano Big Hall
05 Distant Concert Piano Small Hall
06 Ballad Piano: Player position. Large Hall
07 Jazz Piano: Player position, Small Hall
08 Dry Rock Piano: Close position, Medium Hall
09 Melancholy Piano: Close position,  Large Hall
10 Soft Lounge Piano: Player position, Medium Hall
11 Loudness Piano: Close position Medium Hall, dynamic range adapted
12 Mysterious Piano: Distant position. Large Hall

なるほどね。でもこれだと3つのボタンにしている意味があるような、無いような。

肝心のマスターチューニングは画面左下に。


ImperialAdvanve画面

いつも不思議に思っているのだが、なぜ442Hzがデフォルト値でないのであろうかね。コンサートホールで440Hzで調律されているピアノみたことないのだけれども。


セッティング系では、お約束のポリフォニー数。通常は160くらいまでで十分である。

よくわからないのだが、2susというボタン(デフォルトはoff)とある。サスティーンペダルが作動する前に押されている持続音のリアリスティックを高めるとある。

まあ、おまじないと同じかなあ。onにしてみる。そして音を聞いて見てニヤリ。なるほど、そういうこと。

そのとなりが、Velocity Histogramというモニタがあるが、その下に以下がある。

Sus サスティーンペダルが踏み込まれるとSusが点灯。
Sost、ソステヌートペダルを踏むと点灯。
   ペダルは、押されたときに演奏していた音だけを保持します。
UC   ソフトペダルの状態を反映。


ふむふむ、これは見落としがちだが重要ではある。Pianoteqだとイラストで表示されるのでわかりやすいのだけれども。


●Optimize function  画面右上メニュー

これはRAM容量の節約。ソフト音源特有のわかり難い機能だなあ。

Load all samples  これは一括読み込み。

Learn used samples これは演奏された音符を記憶する。

Optimize load    使用されないサンプルはメモリから削除。


親切設計なのだが、通常はLoad all samplesで良いのでは。


次に『ADVANCED VIEW』

ここでいじる部分としては、以下くらいかなあ。

Volume ⇒-8くらいに設定した方がよいかも。


Reverb Type
Huge Hall, Large Hall, Medium Hall and Small Hall
以下のコンサートホールのパッチもあるみたい。
Wiener Konzerthaus、Mozart Saal、Neuer Saal


Reverb Amount:リバーブ量の調整。


次によくわかないパラメーターが以下かかな。

Dynamic Range 
⇒ヴェロシティのコンプレッサーの動きと認識していればよいのかな。
 通常の生ピアノだと55–60%の間であるとのこと。
 
Sympathetic
 これはピアノのハーモニックス奏法においての加減量と認識して
 おいてよいのかな。


Pedal Noise
 ペダルノイズ。


Stereo Width
 ソロピアノだと100%。オケで使う場合は狭くせよということかな。
 リバーブはこのパラメータには影響しないから注意とのこと。


KEY EDITOR VIEW

ImperialKeyEditor画面

 一音一音、こまかくイコライザ、ゲイン、ダイナミックレンジを変更できるらしいが、
 よくわからないうちはさわらない方が、無難かな。
 以前、ブログでVienna Imperialのド#5の音がこもってると指摘されている人がおられたが、このパラメータの影響かなあ思ったのだが、確かにC=C3と数えてAs4からE5までは、音色が丸いね。サンプリングしたときのピアノハンマの調整がそうなっていたのか、あるいはプログラミングの設定不備かな。なんせ100段階ベロシティだからね。


他、調律機能を探してみたのだが、どうやら存在しないようだ。


ということで、一通りの健忘録として残しておこう。

さて、お待ちかねのプリセット音の比較。MP3(24bit 256Kbps)で録音したのものを置いておく。なるべくパラメータはいじらないようにしておいた。仕上げ段階では、このままではちょっと高域がうるさいのでイコライザーで落とす必要があるでしょうね。

●サンプル
 
 ラヴェル先生 クープランの墓より プレリュード

Close

Player

Distant

Distant  内部リバーブ付与 Mozart Zaal

 Distant  内部リバーブをOFF 外部リバーブ付与 Mozart Hall 

Distan Altiverb Mozart Hall

 Altiverbと同じモーツアルトホールのものがあったのでリバーブを比較してみたのであった。
 

今時デジタルピアノなの

楽器屋さんにいくとデジタルピアノがたくさん置いてあるのだけれども、どうも今一、今二、今三といったところ。いろいろチャラチャラとした機能がたくさんついているけれどもDTM関連をやっている者としては余計なところにお金をかけず、鍵盤と音源だけに選択と集中をすればよいのに思っている。

個人的にいうとこの手のデジタルピアノで一応の合格点を与えることができるのは、

ヤマハのアバングランドシリーズ(N1、N2、N3X)のみですかね。カワイも対抗してNV10を出してきたみたいだけど、こちらはまだ試奏していない。

でも価格があさっての方向で、本物を買った方がよいかもという価格。
本物の方も150万円程度、出す気があるのなら、私なら躊躇なく白金高輪のお店でペトロフを購入する。凄腕調律師さんにメンテしてもらえるしね。さすが、スタインウェイ社を退社して店を構えるだけのことはある。ピアノもバイオリンも調整が大事なんだよね。

あるいはザウターのピアノも弦楽器にあう音色でよい。このところは島村楽器さんが頑張っているみたいだけどね。

とは言え、生ピアノをマンションに設置するのはいろいろ問題があるので、購入するわけにはいかず、ピアノスタジオに行って弾いていたりする。国産のグランドピアノで1時間、2300円程度かな。静かな練習ルームで思いっきり音を出せるのも良い。お金がかかっているので集中して練習できるしね。

少し脱線したが、デジタルピアノにも良い点があるので捨てがたい。調律不要、音量を押さえることができる。ヘッドフォンが使える、録音が楽。MIDIキーボードとして使えるなどね。あといろいろなところにスピーカーが入っているので、楽器らしい鳴り方をするのと、PCと接続するときに悩まされるレイテンシーとかノイズの問題とか考えなくてよいしね。

ところで、
『凄いのを、もっと、もっと安い価格でだ!』

という欲張さんは世の常。安心してくだされ。あるんですよね。

ピアノ音源にVienna Imperial、あるいはPianoteq6。これにカワイのMIDIキーボードVPC1を組み合わせる。これが今のところ最強だろう。

パソコンとオーディオインタフェースは別途必要だけれども価格的には、20万くらいで揃うのではないかしら。音もタッチもアバングランドシリーズと同程度くらいにはなるだろう。

通常のデジタルピアノはダイナミックレンジが狭すぎるのであるが、この組み合わせでいけば、本物のグランドピアノにかなりちかづくからである。Pianoteq6だと128段階、Vienna Imperialだと100段階のベロシティレイヤー。Pianoteq6は音律を自由に設定できるのも凄いよね。ピーターゼルキンの1/7SCミーントーンとかね。Vienna Imperialの方は古典調律機能がないようだ。少し残念。

VCP1の方は、なかなかアグレッシブな宣伝。
いかに大容量のソフトウェアピアノ音源でも、また、いかに先進のモデリング技術を駆使したソフトウェアピアノ音源であっても、鍵盤が高品質でなければ、「演奏したい」という気持ちに満足感をもたらしてくれることはありません。

VPC1は木製鍵盤のRM3グランドⅡ鍵盤を搭載しています。積層の木製鍵盤、シーソー構造、3つのセンサー、異なる支点位置、レットオフフィール、アイボリータッチなど、RM3グランドⅡ鍵盤はそのほとんどがMIDIキーボード史上初の贅沢な仕様を採用。これらの仕様の数々が、プレイヤーの指先にグランドピアノの感触を再現します。


//Kawaiのホームページから引用

『圧倒的だなあ我が軍は!』

いうことでカワイのVPC1のオーナーブログや動画を見てみると、幸福感に満ちあふれていてうらやましい。ピアニストさんたちからも絶賛されているしね。音大生も結構購入していくらしい。問題はその重さをささえるスタンドと、しょぼいペダルだよね。

ということで、カワイのVPC1は将来の購入リストに入れておくとして、先行してピアノ音源のVienna Imperialが1月末まで破格の価格で購入できたので、シメシメと購入しておいたのであった。

カワイのVPC1もここまでやるんだったらペダルもグランドピアノに完全準拠仕様にしてくれたら良いと思ったのだが、そこは戦略かなあ。次の機種では出てくるかもしれないね。あとモジュレーションホイールとピッチベンドはつけて欲しい気がするが、コンセプト的にないだろうなあ。あとノートPCとか物を置きたいので平らにしてくれというミュージシャンからの要望も結構あるみたい。

ヤマハも対抗して出せば良いと思うのだけれども、経営戦略的にやらないだろうね。

追記:
VPC1のスタンドをするのかいう質問をいくつかの店員さんにしてみたが、これがお薦めですという明確な回答はなかった。ポイントは高さを自由に変更できることと、X脚タイプが足の邪魔になるのでやめておけというものである。
仕方ないので、海外のサイトで調べてみた。スタンドを自作している方も随分といて面白かった。後、ショップで合わせ販売しているものをみると、「K&M 18810キーボードスタンド」が使われていたので、これだと自由に高さを変更できるし頑丈だし。やはりスタジオスタンダードだよねと思った次第である。問題はデザインよね。
カワイも専用台をつくればよいのだけれどもね。


オジサンバイオリン弾きのための練習曲

年末にテレビをみているとバイオリンを弾いているオジサンがいた。曲はタイスの瞑想。

はたで聴いていた母親いわく、

「この人、うまいの?」

「これはタイスの瞑想ではなく、タイスの迷走ですね。」

このおじさんはテレビで職業音楽家と紹介されていたのだが、専門は声楽のバスの人かなあ。声の方はまあまあよかったのだが。バイオリンはトホホな状態。でも『人の振り見て我が振り直せ』ということで、とても参考になる。

バイオリンを長らくやってみて思うのだけれど、バイオリンはブレーキのない自転車を運転しているようにものである。どこで止めるのか、弓位置とか弓を返す角度とか、記譜してある音符をフレーズ単位で先読みしておかないとほとんどの場合うまく行かない。

例えば、一見簡単そうにみえるクライスラー編曲のMidnight Bellsの楽譜。

Midnight Bells1



この曲は、弾いている音符に目が入った段階でポジション移動しているようだとヨレヨレになる原因となる。たとえ暗譜できているとしても正確にやっていないと先ほどのオジサンバイオリニストと同じことになる。

クレーメルさんも言っておられた。『私の人生のほとんどは、楽譜を覚えることに費やされている』と。

バイオリンの暗譜というのは、結構大変である。音符を覚えるだけでなく、弓位置、弓上下、ポジション移動の位置も正確になるように注意深く練習する必要があるからである。

例えば、

Midnight Bells の最初の音は、E音だが、これを適当に1指で押さえるのではなくて、
隣のA線との間で完全4度になる位置の確認が必要。

『濁りナシ。』

つぎのGは、普通は3指のところを1指でシフティングしている。
これも適当ではダメで、1指でGを取ったらとなりのG線と同時に弾き、合っているかを確認する。

『濁りナシ。』

次のH音は3指だが、これもG線と同時に弾いてみる。この場合は、長10度の和音になるのだが、
完全に合うと低めの音になるので少し高めにとる。

『濁りナシから高めへ。』

そして次のA音はなんと下へシフトしての3指。オーケストラしかやっていない人だと、なかなか発想できないフィンガリング。クライスラーの曲はこういうポジション移動が多いのでとても参考になる。私は、この独特のフィンガリングをクライスラーフィンガリングと呼んでいる。
このA音もとなりのA線と同時に弾きあっている必要がある。

『濁りナシ。』

こういう手順で、音程を細かくチェックしていき次に弓先で弾くのか、弓元か中弓かも考えて弾いていく。最近では有名バイオリニストの動画がたくさんあるので、こういうのを見ているととても参考になる。


ここまでは、アサシンが遠坂邸に忍び込むようにとてもスローなテンポでやっていく必要がある。メトロノームで40でも早いくらいである。逆にこのスローテンポで指や弓が曖昧ということは弾けていないということなのだが、ここで無謀にもテンポをあげて、

『他愛ナシ。』

とか叫んだりすると、そのバイオリン弾きはアーチャーの弓に当たって死んでしまうのである。

ここまでは、料理でいう下ごしらえのようなもの。

Midnight Bellsで困る難所は、ここだよね。

Midnight Bells2

不協和音の部分はとても取りにくい。特に小指の短い人はこまるフィンガリング。
これも1音1音分離しながら音程を丁寧に取っていく。

最後はフィニッシュはクライスラーの小品ではよくでてくるキメの人工的ハーモニックス。

ここは正確に音程をあわさないと音がでません。

Midnight Bells3

ここまでできたら、メトロノームをつかってドレミで完全に歌えるようにしておく。バイオリンが本当にうまい人(プロね)は、かなりテンポが速くてもドレミで歌うことができるのはさすがである。

完全にこれができていれば、指定のテンポでも演奏ができてしまうのだから不思議なものである。
逆に指定のテンポで弾けない部分があるとすれば、そこは暗譜できていない箇所ということである。

これがバイオリンの弾き方というものである。

これはバイオリンでのお話。ピアノの場合も似たような暗譜方法があった。
テレビの番組を録画したものであるが、「発達障害のピアニスト・野田あすかさん」の番組があったのだが、空間認知能力が生まれつきなく、楽譜を直接読めないのに、楽譜をどのようにして覚えていくのかいう箇所があった。


一般人には、凄まじい努力で覚えているように見えてしまうかもしれない。
でも、彼女のやっていることは、楽譜を覚える基本をやっているに過ぎない。一音一音丁寧に歌いながら覚えていく方法、つまりプロピアニストの覚え方をやっているということ。バイオリンの暗譜の仕方とよく似ていると感心した次第である。ソルフェージュ重要ということかな。

上記のオジサンバイオリニストもこのような練習方法に変更すれば、随分とよくなると思うのだがどうなんでしょうか。あと、録音して聴くというのも重要ですよね。

オケ活動しばし休憩

アマオケに入ってから5年以上が経過したのだが、しばらく休むことにした。
とにかく演奏量がすごいし、速度も速いし、丁寧に演奏することよりも消化することが目的となってしまいモチベーション下がったのが直接の原因かな。

そんなおり、面白い記事を見つけた。ダイヤモンド・オンラインからの記事なんだけども、バイオリン奏者をサンプルにしていて面白い。

引用記事:人は「好きなことが得意なこと」になり、それ以外のことは「やってもできない」

私は、個人練習もオケ練習も好きだが、オケ練習の時間を減らして個人練習時間を増えすという発想がなかったので、実に興味深い記事と思ったわけである。『個人練習がほんとうの練習であり、集団でのセッションは「楽しみ」である。』ということらしい。反省。

さて前置きは、ここまでにしてオーケストラで演奏するということを自分なりに整理してみた。

●良い点
 現役のプロオケ先生から指導を受けることができる。業界内部の話も聴けて結構楽しい。
 他人の弓の動きをよく見るようになった。
 リズムを正確に弾くように心がけるようになった。
 休符の数を正確に数えるようになった。
 ピチカートがうまくなった。
 人脈が増えた。
 合奏は楽しい。

●課題
 速い曲が多いので雑になりがち。技術が荒廃する。うまい人でも音程が荒れている人は多い。
 オケ曲の練習に時間を取られ過ぎる。1時間は基礎練習に使いたいのだが。
 重音練習をさぼり気味。
 自分の思い通りに弾くことは合奏では難しい。
 暗譜しなくなった。

 オケを休業して2か月くらい経過したのだが、不思議なことに急激に基礎練習のモチベーションが上がってきた。ハイフェッツの音階練習とか、クロイツェル教本のトリル練習とか、オケ曲を想定して弾いてみるとなかなか楽しいのである。

ハイフェッツの音階練習に掲載されている減七の分散和音の練習なんて、ほとんどやっていなかったけれどもオケ曲ではこうした増音程進行は頻繁にでてくる。増音程進行は感情の暗さを表現する場合によく出てくる気がする。例えば、シューベルトの未完成交響曲やブラームスの交響曲を想定しながら弾いてみると、『減七の分散和音の練習』も音程をよくするために手の形を考案してみたりして楽しく練習できるのである。

クロイツェルでは、3指4指のトリル練習。これが楽しい。モーツアルトやワーグナーを想定しながらの練習だと、なかなか気合が入るものである。上からのトリルとか下からのトリルを3つ入れるとか4つ入れるとかね。3指、4指が速く動くとオケ曲を弾くのも楽である。

クライスラーとかエルガーの小品ね。単純なメロディであっても、自分では思いもつかない運指やポジション移動が書いてある。こういう弾き方がバイオリン弾きにとっての醍醐味であろう。やはり課題がわかっていると練習にも実が入るというものである。


 バイオリン愛復活、しばらくはこの状態でいようと思う。

バイオリン二重奏を作ってみた

年末にバイオリン二重奏曲の楽譜をいろいろと探索してみたのだが、あまり良い作品がなくて困った。この手の作品として有名なのが以下。








他にもいろいろあるけど、弾きたい曲があまりない。バイオリン二丁の曲って、作曲が難しいのだろう。バイオリンにチェロとかピアノとか付けることができれば、いろいろ曲を書きやすくなるのだがと思っていたらこんなものあった。


今は亡き、玉木さんの楽しい曲集なのだが、第二バイオリンに重音がでてきて結構難しい。ほ〜、こういうバイオリン伴奏の使い方があるのかと感心したのでとりあえず購入しておいたのだが、よく考えたら、ネットでアップしようとすると、音楽教室を脅している某圧力団体からクレームが来そうで怖い。

 ならばということで自分で作ってみることにした。

 かなり難しいかなあと思っていたら、思いのほか筆は進み。1日で1曲できてしまった。コツは、旋律と伴奏という発想を捨て去り、2本のバイオリンで共同で旋律をつくるという感じにすると、うまくいくようだ。あるいは、無伴奏バイオリンの曲をつくるつもりで、あとから2本のバイオリンにするという発想でよいのかもしれない。

 ということで、スケッチを作ってみた。最近は、SibeliusとNotePerfomerを使って作曲することが多い。NotePerfomerはSilbelius用の専用音源だが、クラシック音楽の鳴らし方をわかっているような感じで使い勝手がよい。つまりあれこれと打ち込まなくてもある程度の演奏をしてくれるということである。DTMをやっている人はわかると思うけど、ソロ・バイオリンを打ち込むのはすっごく、すごく手間がかかるのだよね。NotePerfomerだとベタ打ちでもニュアンスを掴んでくれているので手間がかからなくてよい。

 いずれ、本物のバイオリンで録音してアップしてみようと思う。かなり複雑に聴こえる部分もあるが中級者レベル(鈴木教本の5巻卒業レベル)の人なら簡単に演奏できる工夫をしてある。近代の音楽が好きな人なら挑戦の価値があるかもです。

 ららトーク作曲:2本のバイオリンのための組曲

※楽譜をIMSLPに公開予定。これで著作権に関する某圧力団体から文句はでないはず。楽譜にとらわれず自由奔放に、ハイフェッツやクライスラー、カルミニョーラのように弾いてくれると嬉しいです。全国のアマチュア・バイオリニストの楽しい演奏を期待しております。

追記:

 IMSLPへの登録を拒否されました。ものすごく難解な長文英文メールが送られてきたのですが、要約すると、あなたの作品への権利が制約されることになるので熟慮せよ。現役の作曲家についてはIMSLP側の管理が難しくなることも理由のようです。やはり著作権の問題は難しいようですね。それでも頑張れば登録してもらえるかもしれないのですが、法律関連の難解英文のやりとりも面倒ということで、自分で管理することにしました。演奏会、アンサブル大会、レコーディングなどで自由に使ってもらって結構です。

  楽譜はここにおいておきます(2018/1/7)
   



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