DAW環境をWindowsにしたことからモニタースピーカーも替えてみるかと思い、長らく放置しておいたDALI ROYAL SCEPTERを使ってみることにした。
このDaliのスピーカーは、苦い思い出があって、本当は他の個性的な低音の別メーカーのスピーカーにしようと思っていたのだけれども、オーディオ店のおっさんに説得されてこちらを購入した。家に帰って聴いてみると、YamahaのNS-10M Studioと同系統のモニター系フラットの特性だったので、同じような傾向の製品を選択しちゃったと後悔したのであった。
スタジオ用モニタースピーカーは、音響特性がフラットなので、標準的な音作りが可能とか言っている割には、個性が強くあり、特に高音が下品で耳が痛くなる製品がほとんど。これで長時間モニターしていたら耳に悪い。特にアクティブ系モニタースピーカーの海外物はそんな感じ。
雑誌に書いてあることに嘘が多いのがわかっていたが、当時は初心者であったので、とりあえず定番のNS-10M Studioを購入したのであった。それから数年後に、これとは鑑賞用の商用スピーカーがほしくなって、オーディオ店にいったら、上記のように店員の口上に完敗してしまったしだい。
この時代にバイオリンを習っていたらなあ。現在はバイオリンをある程度弾けるようになって最高級オーディオを聴いても、所詮、本物の音ではないと思えるようになったのは成長した証だろう。
たった2本の指向性スピーカーでは、バイオリンの全方位の音響をとらえることはできず、平面的なサウンドになる。クレーメルさんのCDなんか酷いよね。彼の美音をまったくとらえておらず、なんかか細い音になり果てているのだよね。
バイオリンの場合、コンサートホールで聴いても、座席によってずいぶんと音が変化する。極端に変化しやすいのが、東京オペラシティホールで、ここのホールは天井が高くかなり特殊な形状をしているので音が万華鏡のように変わる。特に驚くのが1階席と2階席とでは随分と違うこと。
逆にトッパンホールは座席によって大きく変化しない。ややデット気味で奏者の音とその意図がはっきりわかるよい残響のホールだ。プロのバイオリンの先生たちはこのホールの後方で聴く人が多い。ハーゲン・クァルテットがこのホールで録音したいといったのもよくわかる気がする。
逆にトッパンホールは座席によって大きく変化しない。ややデット気味で奏者の音とその意図がはっきりわかるよい残響のホールだ。プロのバイオリンの先生たちはこのホールの後方で聴く人が多い。ハーゲン・クァルテットがこのホールで録音したいといったのもよくわかる気がする。
こうした都内の各有名ホールの響き方を頭に入れているので、店員がいくら最先端のオーディオ理論を屈指して蘊蓄を垂れて説得を試みたところで無意味。所詮、どんな高級オーディオも人工的に聴こえてしまう。人工的とは言え、悪い意味でもなく、プロの写真家の写真のような感じといった方が正解かな。つまりデフォルメされているということかな。
アンサイクロペディアにはピュア・オーディオの説明でピュアオーディオ人の目標は
生演奏を遥かに凌駕する圧倒的音質、徹底的原音忠実を創造すること
(矛盾はどこにもない)。
というのを読んで思わず吹いてしまったが、人間誰しも、特にマニアは何かの拍子でこうなる可能性がある。
スピーカーを視聴していると、ついつい「生演奏を遥かに凌駕する圧倒的音質」の方を追求してしまうのだよね。モニタースピーカーが要求するところは「徹底的原音忠実」の方向性なのだが、本日、秋葉原のオーディオ店をいろいろめぐり、「徹底的原音忠実」の方向性で選ぶのはかなり難しいと感じたしだい。
結局、限られた予算の中ではDaliのスピーカーを選んでしまうのだよね。弦楽器が特に良く聴こえるようにチューニングしてあるのがわかるぞ。あと高額になるけどイタリアのSonus faber。しっとりとしてかなりいい感じ。
それと新発見だったけど、その筋では有名な英国のHarbeth。それは、それはかなりクラシック音楽向けにチューニングされておりびっくり。モーツァルトのシンフォニーがさらに明るく聴こえる。英国なめていたヨご免なさい。
で、モニタースピーカーを見に行ったつもりなのだが、ついつい
「生演奏を遥かに凌駕する圧倒的音質」の方向に行ってしまっている。
これではいかんと、「徹底的原音忠実」の方向に向きなおす。この方向では定評のあるTimedomain系のスピーカーも何点か聴いたのだけれども、空間はよくとらえている気がするけど、なんか足らない気がするんだよね。でも毛色が違うのも手に入れたい気はするが、「ええなあ、Harbeth compact 7ES-3。」「買ったらんかい」という闇の声が聞こえてしまうのであった。
もはや方向性が崩壊している。
iPadProも買ったばかりだし、自制せねば。でも消費税が。。。。
●蛇足
やはりオーディオ専門店には、おっさんと老人と外人しかいない。若者は、イヤホン専門店に流れているみたいだ。ピュア・オーディオを趣味としたり、アンプやスピーカーを自作する人は随分といなくなっているんだよね。
それとオーディオ製品は、新製品よりも古い中古の方が良い音がするスピーカーが多い気がする。バイオリンと同じなのかなあ。ハイファイ・オーディオ。なんか間違った方向に行っているのではないかい? ホールの音を聴けばそうならないと思うのだけれども。
古いアナログ機器は、部品を交換すればいくらでも音を改良できるし、メンテもできるので長持ちするし、古いオーディオの方が良くないか? 真空管アンプの方がより音楽的な気がする。
古いアナログ機器は、部品を交換すればいくらでも音を改良できるし、メンテもできるので長持ちするし、古いオーディオの方が良くないか? 真空管アンプの方がより音楽的な気がする。