バイオリンと録音と

クラシックのコンサート、バイオリンの演奏方法、バイオリンのグッズについての記事多し。他、楽譜(Lilypond , Sibelius)、和声学、作曲、DTM関連を取り扱っております。

録音メモ

『2本のバイオリンのための組曲』を登録しておきました。
https://drive.google.com/open?id=1ynOSxS_4CD97qe05fArVmIE9hvtV6TD5

室内コンサートの録音

今回は、師匠宅の居間にての録音。

居間は、24畳ほど、グランドピアノが置いてある。
30名ほどの人にほぼ来客されていた。

師匠に招かれたバイオリニストは、松原勝也さん。元新日本フィルのコンサートマスターで現在は、東京藝術大学教授である。ピアニストは、野海直子さん。伴奏を専門としておられるプロのピアニストである。

今回のマイク・セッティングは、舞台の右からバイオリンとピアノにマイクを向けて録音。
右がバイオリン、左がピアノになる。録音の都合上、右スピーカーから音が大きく聴こえるが、バランス調整をすると嘘臭くなるので今回は、見送った。

師匠の部屋


マイク位置


マイクの角度は、ピアニストとバイオリニストに向かうように設定した。このため変則的な角度になっている。この位置での録音で良いこともある。聴衆にマイクを向けていないので、指向性マイクの特徴により聴衆の雑音はカットされるのだ。あるお子様には、ヒヤヒヤさせたものだ。これが入っていないので、ホットしたのであった。

 ●リバーブ

音はオンマイク状態で生々しく録音できのだが、このまま視聴すると耳が痛いこともあり、少しリバーブ処理をかけることにした。なお、イコライジングについては、特に調整なし。
AudioEase社のアルティヴァーブである。アルティヴァーブは業界では最高のリバーブ・プラグイン・ソフトと呼ばれているが、コンサートホールでの複雑な残響音を再現できているわけではないことを実感。とはいえ、この違いが明瞭になるのは、24bit 96KHzのレベルが必要だが。

Altiverb


●録音データ

録音     24bit 96KHz
出力マスター 24bit 48KHz 192Kbps
出力マスターフォーマット MP4
マイク  AKG C214
録音機  TASCAM  DR100
録音編集 Digital Performer 7.2.1

●録音
 以下の記事に掲載。
 サラサーテ:アンダルシアのロマンス

コンサート録音メモ

コンサートの録音時での経験をメモを以下に記述。
  1. DR-100のバッテリーとの耐久時間

  2.  コンデンサーマイクにはファンタム電源が必要なのだが、これをDR-100で供給する必要がある。コンサートはおよそ2時間かかると予想し、単三電池(パナソニック:エボルタ単3形 LR6EJ)を4本をもっていったのだが、これが正解。
     
     ちなみにDR-100の仕様は、メイン電源に単三電池、サブに本体バッテリーを使用、あるいはその逆にすることもできる。

     うかつに考えていたのが、コンサートを開始する前のマイクの調整にかかる時間で、これに30分くらいかかりその分の電源を消費することは想定外であった。
    その影響で曲と曲の間で、電池を交換する羽目になってしまった。

     実践では、エボルタ単3で、1時間20分程度もつことがわかった。それにしても気になったのが、電池がなくなると、サブのバッテリーに切り替わる仕様なのだが、このときにノイズが発生しないかということだ。そこまで試すにはいたっていないが。以後、気をつけねば。

  3. コンサートの始まる前に十分な時間があるとはかぎらない(ピアノの調律時間を考慮)
  4.  
     開演の30分前に到着して、セッティングをしようか考えていたのだが、ピアノの調律に随分と時間がかかり、この間、ステージに入ることができなかった。それにしても、今回の初老のピアノ調律師さん。何者をも寄せ付けない圧倒的な集中力。調律完了後に調律師さんが、ピアニストさんに最後にアドバイス。

    「このピアノ(ベヒシュタイン)は、非常に珍しいピアノである。がんがん弾くと駄目で、やわらかく繊細に弾いてほしい」

    とのこと。

    「う〜む」

     ピアノとバイオリンというのは、非常に相性の悪い組み合わせなのだが、ピアノの調律をバイオリンに合わせておいてくれたのだろう。うまい調律だった。よくネットでは、物理学が好きな人がいて平均律とか純正律とかで話題になるのだが、そのような教科書レベルの話ではなく、もっと高度なこと。調律は、ピアノ単体にあらず、あわせる楽器の個性をも尊重した感覚が必要なのだと思い知らされたのであった。
     ということで、プロのコンサートに呼ばれる程の調律師さんは、格がまったく違うのだと感服。

  5. マイク・セッティング

  6.  マイク・セッティングは頭の中でいろいろプランしていた。XY方式、NOS方式、ORTF方式、AB方式など教科書レベルのことを頭に描いては、ウキウキしていたのだが、実際に現場に行ってみるといろいろと変更する必要がある。

     例えば、マイクは一番よい場所に設置することはできない。ステージの真ん中に立てると視覚的にNGで聴衆からクレームがあるかもしれない。今回は、左手横のステージの袖から、マイクを立て、ちょうどバイオリニストの楽器の高さ(150cm)、水辺からやや下向きへ設置。バイオリンは右、ピアノは左のマイクでとらえることとした。マイクから演奏者の距離は、バイオリニストへ4m程度、ピアニストへは6m程度マイクはマイクバー上で17cm離し、概ね相対指向角60度で調整。

    今回、初の試みであったので、ものすごく心配であったのだが、録音したものを聴いてみるとバイオリンとピアノのバランスがなかなよい感じであった。とは言ってもプロの録音技師からみるとぜんぜん駄目なのかもしれないが。

     また意外な発見であった。正面から録音すると、ピアノの方が、バイオリンよりも音量が大きくなりがちであるのだが、今回の配置だと、ピアノが少し奥に引っ込み音量がセーブされ、バイオリンの音が前にでる配置になるので、両楽器のバランスがよくなるような感じがした。

  7. パッドスイッチ

  8.  AKG C214には、20Hz以下の低域をカットするパッドスイッチ機能があるのだが、これを使うかどうか迷った。後から不要な音域をDP7に取り込んでイコライザーで加工する方法もあるのだが、意外にうまくいかない。おそらくイコライザーによる加工で音にゆがみが生じるのかもしれない。クラシック音楽はとても繊細なので、少しの加工でもそのゆがみがわかってしまう。ということで、パッドスイッチ機能をONにして録音。結果は、すっきりと低域がとれており、後からの加工も必要がないので、こちらでよかったのだろうと思う。

  9. 録音中

  10.  今回、演奏会の邪魔にならないようにマイクスタンドの位置とか、マイクとスタンドの固定具合とか、演奏中に倒れないかとか、かなり神経質に気をつかって設置。このためすごく緊張しながら、音楽を聴いていた。というよりは、DR-100のレベルメータを集中してみていたという方が正解かも。
     クラシック音楽のダイナミックレンジは非常に広いため、音量オーバーにならないようにする必要があるのだが、それと同時に、メーターのレッドゾーンぎりぎりまで追い込む必要もあるのだ。まあ、チキンレースのような気もするのだが、失敗はゆるされないので、最大90%のところでとめておいた。
     
    ということで、音楽に集中するというよりも、1〜2秒先に流れる音を予想しつつ集中して聴くという聴き方になり、ものすごく疲れたのであった。おそらく録音技師は、音楽など楽しんで聴いている余裕などないのだろうなあ。

  11. バイオリン奏者の呼吸
  12.  
     後から録音したものを聴きなおしてみて、気がついたのだが、バイオリン奏者は、短距離ランナーで、ピアニストは、長距離ランナーなのだと。バイオリン奏者は、難しい速いパッセージでは、無呼吸で演奏している。ほっと一息をついたときに呼吸しているのだ。呼吸が大事というのは、バイオリンの師匠からよく言われることなのだが、実際にどうするかは自分で考えるしかない。
     世界レベルのバイオリニストでベテランになってくると、この呼吸が、一定のリズムで自然に聴こえる。不必要な空気をすわず、体をリラックスさせながら弾いているものだ。気の力と音楽の力は一致する。


  13. ピアノ(ベヒシュタイン)
  14.  
     多くのコンサートホールでは、スタインウェイが入っており、ベヒシュタインが置いてあるところは、少ないので、興味をもって聴いていた。
     実は、私はスタインウェイは、嫌いなピアノである。なぜならバイオリンの音を台無しにしてしまう。威圧するような音量と硬質な音色だからだ。ベヒシュタインはそれと真逆のピアノで繊細な感じだ。これならバイオリンや他の楽器をよく溶け合う。

コンサートホールでのマイク録音

11月26日、子育てヴァイオリニストの松永真弓さんのコンサートがあり、そこで録音をさせていただく機会を得た。正直、駄目もとで頼んでみたのだが、ベートーヴェンのお言葉「勇気は汝を正しい道に導く」の通りに実践してみたところ、快諾していただいたのであった。

使った機材は、以下。
  1. マイク AKG C214 2本
  2.  録音機 Tascam DR-100
  3. マイクスタンド ST-100MB
  4. マイクケーブル HEXA マイクケーブル NC3FX-NC3MX / 10m 2本
  5. マイクバー K&M  23550
マイクについては、弦楽器の音を録音できるマイクということで調査してみたのだが、実際のところマイクというのは使ってみないとわからないところがあり、随分と選択には迷ってしまった。

ネットで評判のいいマイクは、ボーカル用のマイクである。ノイマンのU87Aiとかは定番らしい。最初ノイマンのTLM102 を考えていたのだが、あるユーザーのレビューが気になった。 U87Aiは大抵の人は、これでスタジオの音で録音できるようになるとネットでは大絶賛しているのだが、一人だけ、

「1698年製のグァルネリ作のバロックチェロの録音で使ったのが最初だが、高域が13kHzでぶちきれているので高次倍音が出ず、ガット弦の繊細なやわらかさがなく、平板な音となった。
 高次倍音の塊のチェンバロも、かなり原音と異なる。
 情報量ではRODE NT1Aのほうがましと思う。SN・ハンドリングについても下位機種のTLM103などのほうが使いやすい。NT1AならSNは88dBも稼ぐ。
倍音を気にしないヴォーカルなどにはいいもしれないが、楽器録音では、最近はもっといいマイクが安くて沢山出ている。使い方の難しいマイクである。」

と書いてあったのである。弦楽器奏者は、普通の人と比べて、耳の精度、とりわけ解像度においては1000倍以上違っていると確信しているので、この人の意見は貴重だと思ったのであった。 

クラシック音楽は、とても繊細なのだが、弦楽器はさらに繊細が要求される。これに見合うマイクを探すということで、再度検討してみた。とりわけバイオリンの場合は10kHz以上の部分も減衰することなくということが、何となくポイントのような気がする。 

やはり、バイオリンのことはバイオリン職人さんということで、さらにサーチしてみたところ、佐々木さんのホームページに以下のような記事が掲載されていた。

Q:ヴァイオリンの倍音成分はどのくらいまで出ていますか?

「やはりそうなんだよね。」ということで、予算12万円までということで、各メーカーのマイクの周波数特性表を見ながら最終的に候補を絞った。

・オーディオテクニカ AT4050
・AKG C214

 とくにAT4050は、メーカーサイトに

 バッハ・コレギウム・ジャパンのミューザ川崎シンフォニーホールで録音(2008年6月)された「J.S.Bach:ブランデンブルグ協奏曲(全曲)」にAT4060、AT4050が使用されています。

 とありかなりぐらっときたのであったが、いかんせんステレオ・ペアマッチされているのが手に入らないということで、AKG C214にすることにしたのであった。実は、C214のケースがほしかったということはここでは内緒の話かもしれないが。

で手に入れたのだが、部屋で録音しているかぎりにおいては、DR-100と録音するのとそれほど差がないので、少しがっかりした部分もあったのだが、今回、コンサートホールで録音してみると、「すごい、ここまで違いがあるんだ。」というほどの大きな差がありびっくりしたのであった。まるで、演奏者がそこにいるような録音。24bit96KHzで録音したいうこともあるのだが、いつも聴いているCDなんかよりも遥かに生々しく録音できていたのであった。

松永さんの許可を得ることができれば、このサイトに掲載することにする。

Matsunaga




 

録音機材

最近、バイオリンの録音というものに興味をもっていて、いろいろ機材を購入した。

マイク:AKG C214(ステレオペア)
ブーム型スタンド1: TAMA MS205BK
ブーム型スタンド2: ローランド ST-100MB 野外用に軽量なものがほしかった。
マイク用フィルター: SE ELECTRONICS社 The Reflexion Filter
マイクバー:K&M 23550
マイクバー:K&M 23510
マイクケーブル:5mを2本
オーディオ・インタフェース:MOTU Traveler-mk3

ついでにMacも新調。PowerBookPro 17inch

なんたる散財。これだけの投資に見合う都内のバイオリニストを募集中です。

 ReflexionFilter

MOTUTraveler

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