本日、鞍馬寺蘭(クラマジラン)のリサイタルへ行ってきた。行く前にどのくらい鞍馬寺さんが期待されているのか、ちょっと見てみるかとグーグルで検索してみたところ、こんな緊急速報が!!
と驚いてみせたのものの、こんな時、プロはいつもの10倍以上に張り切って演奏することはお約束と言ってよく、長年のクラシックファーンならわかっており、ある意味とてもワクワクして 会場に行ったのであった。もしかしたら、イザイの無伴奏に変更か!!と脳内は、すでにアドレナリンが湧き水のようにわきあがるのであった。
このようなことは、よくあることで、近年では、あの東日本大震災があったときに、ピアニストが来日できないにもかかわらず 強行来日したテツラフ。プログラムも大胆にも変更。バッハ無伴奏の人知を超えた神がかり的な演奏をしたのを思い出す。
で、会場に行ってみると、変更されたのは、以下の2曲で、
まあ、曲としては、フォーレの方が良いのでよいが、ハッピー・アワーズが聴けなかったのが少し残念。
いよいよ本題の演奏の方だが、
本日の鞍馬寺さんは、濃青色に透かしが入っているかのような上品なドレスであった。ピアニストさんは、黒でいろいろと模様が入ったドレス。背丈は、広瀬さんの方が鞍馬寺さんよりも高い。鞍馬寺さんは、フランス人なのだが小柄で、雰囲気はかなり日本的である。
コツコツと弓を弦にあてるようなチューニングですぐに演奏に入る。ここでポイントがあるのだが、このようなチューニングをする方は、プロでも最上級の演奏をする方のみである。
まずは、プーランクから、この曲は正直いってバイオリン曲としては、あまりよい曲とは思っていなかったのだが、鞍馬寺さんの演奏にかかると、細かなパッセージが一つ一つ浮き出ては、消えていくような演奏で、かなりアーティキュレーションを細かく再現していることがわかる。初期のころは、こうした演奏がやや神経質的な感じがしていたのだが、最近は場数をずいぶんとこなしているので余裕がみえる。その結果、演奏がおおらかになって自然だ。この奏法はイザベル・ファースト級であるといって良いであろう。
次に武満だが、武満を外人が演奏すると、着物を着た背の高いおねえさんを見ているような違和感があるのが普通なのだが、鞍馬寺さんは、フランス人にして日本人という感覚があるのか、実に自然に演奏している。武満の曲と、プーランクがこんなに近い距離にあったのかと少々驚きと戸惑いがあった。
ついでドビュッシー。前の2曲以上に精密なダイナミックスをつけて演奏しており、なんか日本の伝統工芸品をみているかのような、和の匠を感じた。本当にフランス人なのか?この人はと三度思う。
休憩を挟んで、フォーレは、本日はほとんど練習する時間がなかったはずなのだが、これも見事に演奏していた。このクラスのプロになると、本番が練習という感覚なのだろうなあと思う。まさにやり直しがきかない墨絵のごとくの繊細さだ。そしてこの演奏が、本日の最高できであったように思う。
アンコールは、以下の2曲であったのだが、
ということで、ベタ褒めしておいたのだが、本当は、急遽当日にピアニストを引き受けてくださった広瀬さんに大きく感謝である。この人のおかげで、鞍馬寺さんは安心して演奏に打ち込むことができたのであろう。もう鞍馬寺さんの専属ピアニストということで良い気がする。
さて、鞍馬寺さんは、おそらく今後は、イザベル・ファーストのあとをつぐような存在になっていくであろうと思われる。今現在、フランスものを演奏させたらもはや敵なしという感じの貫禄がでてきた。そうなるとトッパンホールのような小さなホールでの演奏が減ってしまうので、今しばらくは、人気が今くらいでいてほしいとも思う。本物のクラシック音楽というのがわかる人にのみ聴いてほしいソリストである。
次は、この人である。天才中の天才、そのハチャメチャに期待である。
2014年5月30日(金) 19:00開演会場:トッパンホール出演:ヴァイオリン:ファニー・クラマジラン ピアノ:広瀬悦子 ※※当初予定していたヴァニヤ・コーエンが今朝体調不良のためドクターストップがかかり、広瀬悦子にピアニストを変更して開催します 。
「え〜!、今日ですか!!」
と驚いてみせたのものの、こんな時、プロはいつもの10倍以上に張り切って演奏することはお約束と言ってよく、長年のクラシックファーンならわかっており、ある意味とてもワクワクして 会場に行ったのであった。もしかしたら、イザイの無伴奏に変更か!!と脳内は、すでにアドレナリンが湧き水のようにわきあがるのであった。
このようなことは、よくあることで、近年では、あの東日本大震災があったときに、ピアニストが来日できないにもかかわらず 強行来日したテツラフ。プログラムも大胆にも変更。バッハ無伴奏の人知を超えた神がかり的な演奏をしたのを思い出す。
で、会場に行ってみると、変更されたのは、以下の2曲で、
ブルーノ・マントヴァーニ:ハッピー・アワーズ
サン=サーンス:ヴァイオリン・ソナタ第二番 変ホ長調 Op.102
こちらに変更になった。
フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ第一番 イ長調 Op.13
まあ、曲としては、フォーレの方が良いのでよいが、ハッピー・アワーズが聴けなかったのが少し残念。
いよいよ本題の演奏の方だが、
本日の鞍馬寺さんは、濃青色に透かしが入っているかのような上品なドレスであった。ピアニストさんは、黒でいろいろと模様が入ったドレス。背丈は、広瀬さんの方が鞍馬寺さんよりも高い。鞍馬寺さんは、フランス人なのだが小柄で、雰囲気はかなり日本的である。
コツコツと弓を弦にあてるようなチューニングですぐに演奏に入る。ここでポイントがあるのだが、このようなチューニングをする方は、プロでも最上級の演奏をする方のみである。
まずは、プーランクから、この曲は正直いってバイオリン曲としては、あまりよい曲とは思っていなかったのだが、鞍馬寺さんの演奏にかかると、細かなパッセージが一つ一つ浮き出ては、消えていくような演奏で、かなりアーティキュレーションを細かく再現していることがわかる。初期のころは、こうした演奏がやや神経質的な感じがしていたのだが、最近は場数をずいぶんとこなしているので余裕がみえる。その結果、演奏がおおらかになって自然だ。この奏法はイザベル・ファースト級であるといって良いであろう。
次に武満だが、武満を外人が演奏すると、着物を着た背の高いおねえさんを見ているような違和感があるのが普通なのだが、鞍馬寺さんは、フランス人にして日本人という感覚があるのか、実に自然に演奏している。武満の曲と、プーランクがこんなに近い距離にあったのかと少々驚きと戸惑いがあった。
ついでドビュッシー。前の2曲以上に精密なダイナミックスをつけて演奏しており、なんか日本の伝統工芸品をみているかのような、和の匠を感じた。本当にフランス人なのか?この人はと三度思う。
休憩を挟んで、フォーレは、本日はほとんど練習する時間がなかったはずなのだが、これも見事に演奏していた。このクラスのプロになると、本番が練習という感覚なのだろうなあと思う。まさにやり直しがきかない墨絵のごとくの繊細さだ。そしてこの演奏が、本日の最高できであったように思う。
アンコールは、以下の2曲であったのだが、
カロル・ベッファ 「バッハの書法による」
プロコフィエフ 「5つのメロディより第一曲」
カロル・ベッファのこの曲は、鞍馬寺さんのためにあるような繊細で技巧的な曲。新作なのに伝統を感じさせる。ということで、ベタ褒めしておいたのだが、本当は、急遽当日にピアニストを引き受けてくださった広瀬さんに大きく感謝である。この人のおかげで、鞍馬寺さんは安心して演奏に打ち込むことができたのであろう。もう鞍馬寺さんの専属ピアニストということで良い気がする。
※このブログのタイトルにつけた「ゴルゴ」は実は広瀬さんのことです。
さて、鞍馬寺さんは、おそらく今後は、イザベル・ファーストのあとをつぐような存在になっていくであろうと思われる。今現在、フランスものを演奏させたらもはや敵なしという感じの貫禄がでてきた。そうなるとトッパンホールのような小さなホールでの演奏が減ってしまうので、今しばらくは、人気が今くらいでいてほしいとも思う。本物のクラシック音楽というのがわかる人にのみ聴いてほしいソリストである。
次は、この人である。天才中の天才、そのハチャメチャに期待である。