バイオリニストが好きなピアノの音色と、ピアニストが選ぶ音色はまったく違う。
バイオリニストだけでなくおそらく他の弦楽器もそうであろうが、スタインウェイを中心とする現代ピアノの音色は、弦楽器にまったくマッチしていない。 特に、ベートーヴェンのバイオリン・ソナタでは、バイオリンとピアノが乖離して聴こえてしまう。そういうことを考えているときに、ピーター・ゼルキンのお持ち込みピアノによるコンサートの件で、様々な感想があり面白い。
特にサントリーホールで聴いた人の不満が多くあり、トッパンホールでは好評の人が多かった点。
ホールによって随分と違ってくるのがピアノの評価。サントリーホールというのは、名門ホールではあるが、残響が長いので、音がぶよぶよで音の密度が薄くなる傾向がある。こうしたアリーナ式形状の大ホールの場合、鋼鉄のような強い響きのピアノが良く生えると思う。なので最新のスタインウェイとかヤマハのフルコンだと良い感じになるのだろう。
とはいえ、ゼルキンが持ち込みしたピアノもスタインウェイではある。古いピアノであることと古典調律を使っている点が違う。よく古楽愛好家による古典調律論と調律師を中心とする平均律論は、ネット上で対立しており、双方の論に共に面白いものがあるのだが、アリーナ式形状の大ホールの場合、古典調律の場合は、音が残響に溶け込み過ぎてしまい、迫力がないとかの評価が優勢なのかもしれない。
逆にトッパンホールのような小ホールで、サントリーホールにあるような平均律で調律されたフルコンで演奏されてしまうと耳が痛い。古典調律での柔らかい三度と、粒立ちがはっきりしているが柔らかな音のピアノだと、ホールでうっとりとさせられてしまう。
適材適所というか、ホールによってピアノのサイズや調律法も変更すべきなのだろう。
プロのリサイタルでは、バイオリンと演奏するピアノは、いつもフルコンだが、小型のグランド・ピアノやアップライトでも良いのではないか思う。たぶん、そのような楽器を使った場合、音量的にもバランスがとれ、より溶け合う響きになると思う
ただ、そうならないのが、固定観念なのかなあ。フルコンが1軍で、フルコンでないグランド・ピアノが練習用、アップライト・ピアノは2軍といった感じ。国産の有名どころのピアノ・メーカーもそういう系列でラインアップしているからである。
最近、そういうラインアップの方法が間違いであろうということが、優れたヨーロッパピアノを試弾して結果わかってきた。アップライトは、グランドピアノの2軍ではないということ。またアップライト・ピアノもそのサイズが大型のものが、良いかというと必ずしもそうならず、小さいサイズのものにも魅力のある音のするピアノがたくさんあることである。残念ながら、国産はほとんど駄目な感じ。2軍はでしゃばっては駄目だと言わんばかりの作りだからである。まあ、一部ディアパッソンのピアノで良い音色のものもあったが、傾向としてはそんな感じだ。
ペトロフとザウターはグランド・ピアノとアップライトではまったく違う方向性の音作りを目指しており、好感がもてる。
ということで、最近は、ペトロフとザウターのアップライトピアノで購入を考えようかなあと思っている。特にペトロフは、白銀台のお店で随分と良いものがあり、ピアノの個性も1台1台、異なっており、バイオリンを選定するようなワクワク感があるのである。この御店の店長は、もともとスタインウェイを手がけていた会社から独立した調律師さんで、本物のピアノを音というのを追求しているらしく、古今東西のピアニストにかなり詳しい。しかもグレン・グールドのピアノ調律方法についても言及してくれた。すっかり意気投合し、2時間ずっとお話しがはずんだのであった。
バイオリニストだけでなくおそらく他の弦楽器もそうであろうが、スタインウェイを中心とする現代ピアノの音色は、弦楽器にまったくマッチしていない。 特に、ベートーヴェンのバイオリン・ソナタでは、バイオリンとピアノが乖離して聴こえてしまう。そういうことを考えているときに、ピーター・ゼルキンのお持ち込みピアノによるコンサートの件で、様々な感想があり面白い。
特にサントリーホールで聴いた人の不満が多くあり、トッパンホールでは好評の人が多かった点。
ホールによって随分と違ってくるのがピアノの評価。サントリーホールというのは、名門ホールではあるが、残響が長いので、音がぶよぶよで音の密度が薄くなる傾向がある。こうしたアリーナ式形状の大ホールの場合、鋼鉄のような強い響きのピアノが良く生えると思う。なので最新のスタインウェイとかヤマハのフルコンだと良い感じになるのだろう。
とはいえ、ゼルキンが持ち込みしたピアノもスタインウェイではある。古いピアノであることと古典調律を使っている点が違う。よく古楽愛好家による古典調律論と調律師を中心とする平均律論は、ネット上で対立しており、双方の論に共に面白いものがあるのだが、アリーナ式形状の大ホールの場合、古典調律の場合は、音が残響に溶け込み過ぎてしまい、迫力がないとかの評価が優勢なのかもしれない。
逆にトッパンホールのような小ホールで、サントリーホールにあるような平均律で調律されたフルコンで演奏されてしまうと耳が痛い。古典調律での柔らかい三度と、粒立ちがはっきりしているが柔らかな音のピアノだと、ホールでうっとりとさせられてしまう。
適材適所というか、ホールによってピアノのサイズや調律法も変更すべきなのだろう。
プロのリサイタルでは、バイオリンと演奏するピアノは、いつもフルコンだが、小型のグランド・ピアノやアップライトでも良いのではないか思う。たぶん、そのような楽器を使った場合、音量的にもバランスがとれ、より溶け合う響きになると思う
ただ、そうならないのが、固定観念なのかなあ。フルコンが1軍で、フルコンでないグランド・ピアノが練習用、アップライト・ピアノは2軍といった感じ。国産の有名どころのピアノ・メーカーもそういう系列でラインアップしているからである。
最近、そういうラインアップの方法が間違いであろうということが、優れたヨーロッパピアノを試弾して結果わかってきた。アップライトは、グランドピアノの2軍ではないということ。またアップライト・ピアノもそのサイズが大型のものが、良いかというと必ずしもそうならず、小さいサイズのものにも魅力のある音のするピアノがたくさんあることである。残念ながら、国産はほとんど駄目な感じ。2軍はでしゃばっては駄目だと言わんばかりの作りだからである。まあ、一部ディアパッソンのピアノで良い音色のものもあったが、傾向としてはそんな感じだ。
ペトロフとザウターはグランド・ピアノとアップライトではまったく違う方向性の音作りを目指しており、好感がもてる。
ということで、最近は、ペトロフとザウターのアップライトピアノで購入を考えようかなあと思っている。特にペトロフは、白銀台のお店で随分と良いものがあり、ピアノの個性も1台1台、異なっており、バイオリンを選定するようなワクワク感があるのである。この御店の店長は、もともとスタインウェイを手がけていた会社から独立した調律師さんで、本物のピアノを音というのを追求しているらしく、古今東西のピアニストにかなり詳しい。しかもグレン・グールドのピアノ調律方法についても言及してくれた。すっかり意気投合し、2時間ずっとお話しがはずんだのであった。