バイオリンと録音と

クラシックのコンサート、バイオリンの演奏方法、バイオリンのグッズについての記事多し。他、楽譜(Lilypond , Sibelius)、和声学、作曲、DTM関連を取り扱っております。

デジタルピアノ

『2本のバイオリンのための組曲』を登録しておきました。
https://drive.google.com/open?id=1ynOSxS_4CD97qe05fArVmIE9hvtV6TD5

最近のデジタルピアノを弾いてみた

前回は、デジタルピアノに関する記事を掲載しておいたが、DTM関連の人たちとピアノの練習メインの人とでは購入観点が随分と違うのだろう。ということでデジタルピアノにピアノにも少し興味をもってきたので都内の楽器店を見学に行ってみた。

個人的に良いなあと思ったのは、やはりヤマハのアバングランドシーズで、N2がスタイル的に好み。楽器店の方でも、N1よりもN2が売れているらしい。ただし、100万円越えだし、近々のうちにN2Xが出そうな気がするよね。これに対抗して、カワイもNV10を最近、出してきたので試弾してきたのだが、タッチ的、音響的にもヤマハの方が高級感があると思ったね。N2のレベルを超えるのはなかなか難しいだろう。

デジタルピアノは、リバーブが入っていると全然わからないのでリバーブを切ってみると、その違いというのがよくわかった。特にアバングランドシーズは、ピアノの雑に弾いても高級感のある音になるのが凄いと思うのだが、ピアノの練習者にとってはそれはありがたくないということになるかもしれない。


やはり、問題は価格だよね。デジタルピアノに50万円以上出す気にはならない。そこで、30万円~40万円台も調べてみた。この価格帯というのは、売れ筋系なのかな、店員の機種押しが激しい。


まったく興味がなかったのだが、その道のマニア道をまっしぐらという感じの熱い漢系店員さんからお呼びがかかったので話を聴くとことにした。やはりマニアはマニアがわかるのだろうか。漢店員のいうところの売りは、ヴェロシティ値に対応するダイナミックレンジの広さだそうだ。その熱い超絶技術系トークを少しばかし軽くかわしておくかということで、ピアノ調律系の難しい質問を出しておいたのだが、ビシバシと淀みなく応えてくれたのが素晴らしい。「ほ〜う。やるな。」ならばということで、半信半疑であったのであるが弾いてみたら驚いた。

「なかなか、いいんじゃないか。これは。」

感心したのは、ベルリン・グランド(ベヒシュタイン)、ハンブルク・グランド(スタインウェイ)、ウィーン・グランド(ベーゼンドルファー)という世界三大ピアノをうまくサンプリングしている点。3つとも個性が際立っており、曲によって使い分けできそうな点である。弾いていてとても楽しい。ピアノのタッチに関しては好みがあるけど、欧米のピアノタッチ感に似ており、とても軽く少々バネぽい感じなんだよね。ボストンピアノのタッチに似ているかなあと思った。

気になったので調べてみると、このような動画が見つかった。生のグランドピアノとGP-500BPをなんとベルリンフィルハーモニーホールで弾いている。宣伝とはいえ、なんとチャレンジグな試みなのだろう。



ただ、中級者以上のバイオリン弾きにはこの差は明確、明瞭にわかるよね。アタック感がぜんぜん違う。均一的で硬い。この部分はピアノハンマーの特質という微妙なところでサンプリングを超えたAI的な微妙なコントロールが必要なのかもしれないね。



こちらは、お嬢様さま店員が丁寧に説明してくれた。この機種にはホワイトもあるんだと感心。アップライトタッチということでN1,N2系のタッチとは違うが、これはこれで弾いた感じがよい。あと前の機種のNu1よりもダイナミックスレンジ幅が広くなったような気がする。全体的にうまくまとまった感じである。ヤマハ製品を買う利点としては、部品をストックしてくれる年数が長いこと。20年くらいなら大丈夫そうだ。店員さんもその点を強調していた。


こちらは、ピアノプレイヤー系のお姉さま店員がマニアックに説明してくれた。この製品の場合は、サンプリングではなく物理音源なのでタッチがスムーズ。そのため、下手に弾けば下手に聴こえ、うまく弾けばうまく聴こえるので、ピアノ練習用にはこの製品がイチ押しとのこと。カシオなんかは、グランドピアノ鍵盤特有の引っかかり、押し込みを表現できていないが、こちらはできていることを強調。でも、音色的にはデジタルチックで魅力が乏しい気がするなあというのは正直な感想。



オンキョーとのコラボということで、派手に宣伝していたので気になっていたデジタルピアノ。タッチに関しては、ややバネッぽく少し重いかなあと思うけど、カワイのグランドピアノのタッチもそんな感じなので、カワイ系の人はこちらが好みだろうね。上部にあるスピーカーの位置がグランドピアノとおなじ方向になるようにしてあるので自然に聴こえるとのこと。音的にも斬新という感じは薄く少し期待はずれ。よく言えば纏まっており価格相応な音であると褒めることもできるんだけど。ただ、これは店の展示環境にも左右される評価だから一概には言えないけどね。

・Yamaha CLP-685PE、685B
この機種は黒鏡面艶出仕上タイプのものとそうでタイプがあり、鏡面の方が価格が高くなるけれども指が映るので良いですよとのこと。この機種の特徴は、鍵盤のタッチが独特で、おもりを入れている感じが良くわかる。トリルはかなりやりやすいが、グランドピアノとも違うタッチ感である。同じヤマハでもN1、Nu1Xとはまったく違うのが面白い。なぜかCLP-685の場合、グランドよりもアップライトの音色が気にいったけど。デジタルピアノとして価格相応によく纏まっているという印象であった。

で、感じた点など、

各機種とも、音色、ペダリング、鍵盤タッチ感が随分と違うので好みとなるだろう。

タッチやペダルに関しては、ヤマハ製品が洗練されている気がする。ただヤマハのC3Xなどのグランドピアノタッチに慣れているということかもしれないので、個人的な感想はあまりあてにはならないが。
この価格帯のデジタルピアノは、多数のスピーカーが付いているが、上の蓋をあけることができ、そこにスピーカーがある方がより自然に聴こえるのかなあ。このところはヤマハのN3Xが理想的なんだけどね。そうすると今度は図体が大きくなるし、設置が難しいところだ。あとリバーブによる音質差も大きいので選ぶときにはいろいろなバリエーションで弾かせてもらった方がよいかもね。

こちらの動画では、生ピアノとの差がほとんどつかないよね。やはりスピーカーの位置が重要なのかな。このへんになったらリファレンスなしでデジタルと生の差を目隠しであてるのが難しくなるね。
ピアノを弾く人は強打したときのバランスでわかるかもしれないがね。




 最後に、マニアック店員さんが多いので、そこに誘導されないように、目的をはっきりとしておかないと想定している別な機種を選んでしまうかもしれないので注意。弦楽器店の場合は、楽器は出会いということで特に強く誘導されることはないのだが。

想定:

1.ピアノ発表会でグランドピアノで弾く
 音で選ぶよりも鍵盤タッチを重視。安い価格のものでも良いものがあるのでそちらの方が良いかも。
 タッチやペダリングとかの最終仕上げはピアノレンタルスタジオのグランドピアノで弾くべきと思う。本物のグランドピアノも機種によって随分と違うので、発表会で使うものとなるべく同一なもので。

2.自宅で良い音で、ホームコンサートとか
 こちらはスピーカーが多くついていて臨場感がだせるとか、ピアノ音源の種類が多いとかが基準になるかな。私のようにバイオリンの自動伴奏として考えているのなら、楽器の音と調和がとれる音にするというのも基準になるよね。

3.野外でも弾く
 私の師匠はご邸宅のお庭で演奏会を開くことがよくあり、持ち運びが楽な軽いデジタルピアノを所有しておられる。最近のデジタルピアノは音が良いので、弦楽器と合わせても違和感は少ない。適材適所という感じかな。野外演奏では、調律を気にする必要がないのが最大の強み。

4.専門学校志望者
 こちらは、店員に尋ねるよりもご自身の師匠に尋ねるのが一番かと。

●追記

 ちょっといろいろ気になる点があったので、動画で確認してみるとよりピアノサウンドに近いのが、LX-17のような気がする。タッチコントールがうまい人の場合にその差が大きくでる。GP-500BPの場合は、コツンコツンとするアタック音と減衰がやや不自然で誰が弾いても同じように聴こえてしまう。プロの演奏が下手くそに聴こえる??。お店で弾いた場合は気がついてなかったのだけれども、録音では差が明瞭に出るのかもしれない。もし購入するのであればN1かNu1Xかなあ。N1X(未発売だけど)がそろそろ出てくる気がするので『待ち』もよい戦略かと。型落ちや中古で安く買うということもできるしね。正直な話、VPC1(音源:Vienna imperial、pianoteq)で十分という気がしてきた。



今時デジタルピアノなの

楽器屋さんにいくとデジタルピアノがたくさん置いてあるのだけれども、どうも今一、今二、今三といったところ。いろいろチャラチャラとした機能がたくさんついているけれどもDTM関連をやっている者としては余計なところにお金をかけず、鍵盤と音源だけに選択と集中をすればよいのに思っている。

個人的にいうとこの手のデジタルピアノで一応の合格点を与えることができるのは、

ヤマハのアバングランドシリーズ(N1、N2、N3X)のみですかね。カワイも対抗してNV10を出してきたみたいだけど、こちらはまだ試奏していない。

でも価格があさっての方向で、本物を買った方がよいかもという価格。
本物の方も150万円程度、出す気があるのなら、私なら躊躇なく白金高輪のお店でペトロフを購入する。凄腕調律師さんにメンテしてもらえるしね。さすが、スタインウェイ社を退社して店を構えるだけのことはある。ピアノもバイオリンも調整が大事なんだよね。

あるいはザウターのピアノも弦楽器にあう音色でよい。このところは島村楽器さんが頑張っているみたいだけどね。

とは言え、生ピアノをマンションに設置するのはいろいろ問題があるので、購入するわけにはいかず、ピアノスタジオに行って弾いていたりする。国産のグランドピアノで1時間、2300円程度かな。静かな練習ルームで思いっきり音を出せるのも良い。お金がかかっているので集中して練習できるしね。

少し脱線したが、デジタルピアノにも良い点があるので捨てがたい。調律不要、音量を押さえることができる。ヘッドフォンが使える、録音が楽。MIDIキーボードとして使えるなどね。あといろいろなところにスピーカーが入っているので、楽器らしい鳴り方をするのと、PCと接続するときに悩まされるレイテンシーとかノイズの問題とか考えなくてよいしね。

ところで、
『凄いのを、もっと、もっと安い価格でだ!』

という欲張さんは世の常。安心してくだされ。あるんですよね。

ピアノ音源にVienna Imperial、あるいはPianoteq6。これにカワイのMIDIキーボードVPC1を組み合わせる。これが今のところ最強だろう。

パソコンとオーディオインタフェースは別途必要だけれども価格的には、20万くらいで揃うのではないかしら。音もタッチもアバングランドシリーズと同程度くらいにはなるだろう。

通常のデジタルピアノはダイナミックレンジが狭すぎるのであるが、この組み合わせでいけば、本物のグランドピアノにかなりちかづくからである。Pianoteq6だと128段階、Vienna Imperialだと100段階のベロシティレイヤー。Pianoteq6は音律を自由に設定できるのも凄いよね。ピーターゼルキンの1/7SCミーントーンとかね。Vienna Imperialの方は古典調律機能がないようだ。少し残念。

VCP1の方は、なかなかアグレッシブな宣伝。
いかに大容量のソフトウェアピアノ音源でも、また、いかに先進のモデリング技術を駆使したソフトウェアピアノ音源であっても、鍵盤が高品質でなければ、「演奏したい」という気持ちに満足感をもたらしてくれることはありません。

VPC1は木製鍵盤のRM3グランドⅡ鍵盤を搭載しています。積層の木製鍵盤、シーソー構造、3つのセンサー、異なる支点位置、レットオフフィール、アイボリータッチなど、RM3グランドⅡ鍵盤はそのほとんどがMIDIキーボード史上初の贅沢な仕様を採用。これらの仕様の数々が、プレイヤーの指先にグランドピアノの感触を再現します。


//Kawaiのホームページから引用

『圧倒的だなあ我が軍は!』

いうことでカワイのVPC1のオーナーブログや動画を見てみると、幸福感に満ちあふれていてうらやましい。ピアニストさんたちからも絶賛されているしね。音大生も結構購入していくらしい。問題はその重さをささえるスタンドと、しょぼいペダルだよね。

ということで、カワイのVPC1は将来の購入リストに入れておくとして、先行してピアノ音源のVienna Imperialが1月末まで破格の価格で購入できたので、シメシメと購入しておいたのであった。

カワイのVPC1もここまでやるんだったらペダルもグランドピアノに完全準拠仕様にしてくれたら良いと思ったのだが、そこは戦略かなあ。次の機種では出てくるかもしれないね。あとモジュレーションホイールとピッチベンドはつけて欲しい気がするが、コンセプト的にないだろうなあ。あとノートPCとか物を置きたいので平らにしてくれというミュージシャンからの要望も結構あるみたい。

ヤマハも対抗して出せば良いと思うのだけれども、経営戦略的にやらないだろうね。

追記:
VPC1のスタンドをするのかいう質問をいくつかの店員さんにしてみたが、これがお薦めですという明確な回答はなかった。ポイントは高さを自由に変更できることと、X脚タイプが足の邪魔になるのでやめておけというものである。
仕方ないので、海外のサイトで調べてみた。スタンドを自作している方も随分といて面白かった。後、ショップで合わせ販売しているものをみると、「K&M 18810キーボードスタンド」が使われていたので、これだと自由に高さを変更できるし頑丈だし。やはりスタジオスタンダードだよねと思った次第である。問題はデザインよね。
カワイも専用台をつくればよいのだけれどもね。


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