バイオリンと録音と

クラシックのコンサート、バイオリンの演奏方法、バイオリンのグッズについての記事多し。他、楽譜(Lilypond , Sibelius)、和声学、作曲、DTM関連を取り扱っております。

ピタゴラス

『2本のバイオリンのための組曲』を登録しておきました。
https://drive.google.com/open?id=1ynOSxS_4CD97qe05fArVmIE9hvtV6TD5

ピアノをバイオリンに合わせよ その3

前回の記事でPianoteqでのピタゴラス音律の作り方を解説しておいたが、音程マニアなら、まだ不十分であると気づいたはずである。でも臨時記号に関する深い知識がないと解説するのは難しいので、ブラームス先生からの問題という形式にしておいた。

まずは、問題を解く前にその予備知識として以下を書いておく。

※弦楽器奏者(音程マニア)のための予備知識


 ・ピタゴラス音律には、狭い半音と広い全音がある。
  広い全音から狭い半音を引き算すると広い半音が計算できる。

  
  狭い半音 比率256/243 90.255セント[=1200*log2(256/243)]
  広い全音 比率9/8   203.910セント[=1200*log2(9/8)]
  広い半音 203.910-90.255=113.685セント
 
 C#音は、D音から「狭い半音」低い音程、あるいは、C音より「広い半音高い」音程と考えることができる。

さあここからが、問題。ちなみに、この問題は藝大で出題された問題かもしれない(ほんとうか??)。


ブラームス先生からの問題

【問題1】


以下の楽譜で、ブラームス先生は、E音に#を付けていますが、ピアノの先生は、この音はF音と同じだと言っています。弦楽器奏者の立場ならどう回答しますか?

 ダブルシャープ
ブラームス作曲:交響曲第4番の第二楽章から 第一バイオリンパート


選択肢:

1.ピアノ先生の言っていることは正しい。そもそも先生が間違うはずがない。

2.E#はF#の導音である。E#がF#の導音であるならば、F#から90.255セント低い音がその音程になる。結果、F音よりも少し高い音になる。

3.E音よりも「狭い半音」高い音程がE#音である。90.255セント高くとればよい。結果は、F音と同じになるので、ピアノの先生の言っていることは正しい。

4.E音に対し「広い半音」高い音程がE#音である。結果は、F音よりも少し高い音になる。厳密には、ピタゴラスコンマ分の23.46セント高くなる。

5.上記の選択肢には正解がない。なにがピタゴラスだ。ハモるための垂直的音程を考慮していないのはオカシイだろう。

さあ、真実はどこにあるのか、私にはわからない。詳しくはバイオリンの先生に尋ねてみてほしい。


【問題2】

ブラームス先生は、なんとF音にダブル・シャープを付けていますが、この音はG音と同じですか?
97小節では、Gナチュラルにしているのに、102小節目ではFのダブルシャープです。これは絶対に意味があって書いてあると思うのですが。

ダブルシャープとナチュラルの違い
ブラームス作曲:交響曲第4番の第一楽章から 第一バイオリンパート

選択肢:

1.ピアノの先生は同じG音であると言っています。

2.Fダブルシャープが導音であるならば、G#音から90.255セント低い音がその音程になる。結果G音よりも少し高い音になる。

3.F#音よりも「狭い半音(90.255セント)」を高くとればよい。結果は、G音と同じになるので、ピアノの先生の言っていることは正しい。

4.F#音に対し「広い半音」高い音程がFダブルシャープ音である。結果は、G音よりも少し高い音になる。厳密には、ピタゴラスコンマ分の23.46セント高くなる。

5.楽典には、ダブルシャープはシャープで半音上げた音をさらに半音上げると書いてある。ピタゴラスの狭い半音2個分の180.51セント高いF音がFダブルシャープで、G音よりわずかに低い音程になる。

6.楽典には、ダブルシャープはシャープで半音上げた音をさらに半音上げると書いてある。ピタゴラスの広い半音2個分の227.37セント高いF音がFダブルシャープになる。この音はG音よりもわずかに高い音になる。

7.上記の選択肢には正解がない。設問者の知識レベルの低さを露呈しているようで笑える。

さあ、真実はどこにあるのか、私にはわからない。詳しくはバイオリンの先生に尋ねてみてほしい。


ここに正解があるかもしれないし、無いかもしれない。一番よいのは、自分で確かめてみることだと思う。各オーケストラがどのような音程をとっているのか、実はいろいろあるかもしれないのだから。

ピアノをバイオリンに合わせよ その1

「バイオリン弾きは音程マニアでないといけない」

上記はオーケストラの先生のお言葉なのであるが、それを実践していくのは結構たいへんなこと。
ネット上では、バイオリンの音程の取り方の解説を掲載しているサイトはたくさんあるが、指板にシールを貼れとか、バイオリンをピアノに合わせて練習するとか書いてあるサイトは、そもそも弦楽器の音程がわかっていない人が書いたと思ってよいので、それを除外すると、正確な音程の取り方を解説しているサイトに行き着くことは比較的容易である。

それにしても間違ったことを書いているサイトが自称?バイオリンの先生という場合もあるので怖い話である。

バイオリンの場合、ファースト・ポジションの1指が押さえるA、E、H、Fisは、正しく教えてもらっていれば、音程が毎回合うのであるが、間違った指導で習うとノーコンピッチャーのようにその日の気分や調子によって毎回音程がずれることになる。また基本となる1指を弦からすぐに離してしまう癖がある人は、いくら熱心に練習しても音程が正しく取れることはない。

一方、バイオリンをピアノに合わせて練習するのは厳禁と唱える人もいるが、そのことは正しいことであると敬意を払いつつも、ピアノと一緒に練習できないものかと考える人もいるだろう。その場合は、発想を変えてみて、

「ピアノをバイオリンに合わせよ」

と考えてみることも面白い。方法はそれほど難しくない。ピアノの調律をピタゴラス音律にしてしまえば良いだけである。

ただ、実際の生ピアノでこうしたことをやろうとすると、調律が大変なので、音律選択機能があるソフト音源を使ってやってみるのが手軽でよいだろう。音律が選択できるデジタル・ピアノやソフト音源はたくさんあるのだが、問題は、音律変更をどの程度マニアックに変更可能かという柔軟性にある。大抵の音源の場合において、ピタゴラス音律は一択でしかないので、音律マニアは強力な不満を持つであろう。なぜなら、ピタゴラス音律は、ウルフの5度をどこにもっていくのかが、とても問題であるからである。大抵は、D#─A#の位置に置いてあるが、C#─G#の位置においてあるものもある。

難しいことを書いてしまったが、音律ファイルと呼ばれるScalaファイルとそれとセットで使用されるKBMファイルを取り込める音源を使うことが結論になる。そうした音源はいろいろあり、私は、Pianoteqというソフトウェア音源を使っている。
この音源は、ピアノ調律師が使うようなウルトラ・マニアックなパラメータをにいじくりたおせる音源なので気に入っているのだが、Scalaファイルを使って無限の調律を生み出せるところと、和音を鳴らしたときのレゾナンス効果が売りだと思っている。

この音源で楽曲の調性に合ったピタゴラス音律を使い、バイオリンと一緒に演奏させてみると、なんとも不思議な心地よさがある。ピアノの音にバイオリンが共鳴してくるので、弾いていてなんとも気持ちが良いのである。ピアノの音にバイオリンが共鳴しているということは、つまり音程がぴったしと合っているということであり、それはそれはとても美しく鳴る。

当面は癖になりそうな練習方法である。次回は、ピタゴラス音律のScalaファイルとKeymapファイルの作り方について健忘録的に書いてみる。

Pianoteq画面




記事検索
メッセージ

名前
本文
タグ絞り込み検索
最新コメント
QRコード
QRコード
プロフィール

ららトーク

タグクラウド
QRコード
QRコード