本日は、非常に不思議な日であった。
まずは、山手線の事故。秋葉原~神田駅間の線路内で架線を支える柱が倒れたため、山手線・池袋~東京~田町駅間と京浜東北根岸線・東十条~品川駅間は運転を見合わせとのこと。
この日は、東京文化会館でオーケストラの練習があったのであるが、上野駅に直接いけず、仕方がないので大江戸線で迂回し上野御徒町から歩いて、東京文化会館へいく。20分遅刻。でもほとんどの人が、遅刻したので、開始は9:30からとなった。
練習が終了したのが、12時。この時点でも山手線は止まったまま。練習は、地下のリハーサルルームであったのだが、休憩室のビデオをみてみると、何やら合唱付きの凄いオーケストラ編成の曲をプロオケが練習している。このとき団員の人が、
「ステージ上でティンパニが横にずらずら並んでいるよ。凄すぎる!」
と驚きの声。私もその光景をみて驚いたのであるが、
「これってもしかしたらあの伝説のベルリオーズのレクイエムじゃないの。」
どうやらそうらしい。オケは都響とのこと。これを一緒にみていた女性団員の方が
「これ、私、絶対に観る。」
と興奮しながら語ったので、お昼ご飯をご一緒したあとに、一緒に観に行くことにした。
このときもしも、京浜東北線が動いていたら、そのまま私は帰っていたかもしれない。
この曲に関しては、文献ではいろいろ知っていたのであるが、実際には聴いたことがなかった。
それで、当日券待ちで並んだのであるがS席しかなかった。1万円と300円だったかな。それで少し、どうしようかということになって迷っておられるようだったので、
「この曲は、演奏機会が極めて稀なので一生に一度聴けるかどうかの曲だよ。
そもそも演奏会を聴き逃して後悔することはあるが、お金がどうのこうので後悔したことはないであろう。」
と背中を押してあげたところ、それじゃあと行くということになった。
でも、チケット販売間際になって、何とB席が少数であるが、販売されることになり、それを運よくゲットすることができた。そもそも東京文化会館は通常のS席よりは、たまたまゲットできたこちらのB席の方が音響的にも断然よいのである。ラッキーであった。
で1時間30分くらいの大曲が終わったときに、その女性が何やら肩を叩いてくる。後ろを振り向くと、なんと小泉元総理大臣が、観客席のど真ん中に立ち上がって熱烈な拍手をしているのであった。
つい最近も皇后美智子様が来ているコンサートへ行ったし、お二方ともに、クラシック音楽が大好きなのだなあと思った次第であった。
今回、こうした珍しい曲にもかかわらず、満席になっているし、東京のクラシック音楽愛好家のレベルの高さというのは、世界的にも相当なものなのだろう。
さて、曲の感想はというと、この曲については初めて聴いたようなものなので、詳しくは書けないが、関心したのは、以下のような事柄かな。
ティンパニが16台。
その効果は音量的なものではなく和声的なもの。弱音で和音を叩くところが多い。相当なこだわりがベルリオーズにあったのだろう。それに、ティンパニ奏者はたえず舞台上でチューニングをしていたところを見ると、かなりの難曲なのだろうなあ。
都響らしからぬ和声の美しさ。
こうした大編成の曲では、音程がぐちゃぐちゃになりがちなのであるが、合唱団とオーケストラがきっちりと合っていた。濁りのない純正律の美しさである。特に音の小さな部分も丁寧に音程が合わされていた。さすがに都内No.1オケと言われることだけのことはある。都響のイメージはもう少し荒いという感じがあったのだが、最近のこのレベルは凄い。
さらに驚愕したのが、舞台袖のトランペットとトローンボーンであるが、舞台から遠い距離にあっても、きっちりと音程が合っているというのも驚異的。
やはり、日本のオケはもはや世界的なレベルなのだろう。
また、この曲が魅力的なところがたくさんあるが、演奏機会に恵まれない要因としては、バッハのマタイ受難曲や、モーツァルトのレクイエムとかにある、魅力的なアリアの少なさや、歌手陣の二重奏、三重奏的にスリリングに複雑に絡んでくるような作りにはなっていないので、その点では、物足りない気がするのである。
まあ、無きゃ無いでそれも魅力なのかもしれないが、いかんせん私がこの曲を聴きこんでいないので、そのように通俗的に思うのかもしれない。
面白いと思った部分は、オーストラの伴奏部分で、あまり聴きなれないような斬新な響きがところどころに聴かれた点。当時のベルリオーズは若者であったはずだが、この時代を超越した生意気な天才性を感じさせるものがあり、こうした響きが後期ロマン派の礎になっているのがよく分かる。
ということで、非常に貴重な体験をさせてもらった次第であった。
まずは、山手線の事故。秋葉原~神田駅間の線路内で架線を支える柱が倒れたため、山手線・池袋~東京~田町駅間と京浜東北根岸線・東十条~品川駅間は運転を見合わせとのこと。
この日は、東京文化会館でオーケストラの練習があったのであるが、上野駅に直接いけず、仕方がないので大江戸線で迂回し上野御徒町から歩いて、東京文化会館へいく。20分遅刻。でもほとんどの人が、遅刻したので、開始は9:30からとなった。
練習が終了したのが、12時。この時点でも山手線は止まったまま。練習は、地下のリハーサルルームであったのだが、休憩室のビデオをみてみると、何やら合唱付きの凄いオーケストラ編成の曲をプロオケが練習している。このとき団員の人が、
「ステージ上でティンパニが横にずらずら並んでいるよ。凄すぎる!」
と驚きの声。私もその光景をみて驚いたのであるが、
「これってもしかしたらあの伝説のベルリオーズのレクイエムじゃないの。」
どうやらそうらしい。オケは都響とのこと。これを一緒にみていた女性団員の方が
「これ、私、絶対に観る。」
と興奮しながら語ったので、お昼ご飯をご一緒したあとに、一緒に観に行くことにした。
このときもしも、京浜東北線が動いていたら、そのまま私は帰っていたかもしれない。
この曲に関しては、文献ではいろいろ知っていたのであるが、実際には聴いたことがなかった。
それで、当日券待ちで並んだのであるがS席しかなかった。1万円と300円だったかな。それで少し、どうしようかということになって迷っておられるようだったので、
「この曲は、演奏機会が極めて稀なので一生に一度聴けるかどうかの曲だよ。
そもそも演奏会を聴き逃して後悔することはあるが、お金がどうのこうので後悔したことはないであろう。」
と背中を押してあげたところ、それじゃあと行くということになった。
でも、チケット販売間際になって、何とB席が少数であるが、販売されることになり、それを運よくゲットすることができた。そもそも東京文化会館は通常のS席よりは、たまたまゲットできたこちらのB席の方が音響的にも断然よいのである。ラッキーであった。
で1時間30分くらいの大曲が終わったときに、その女性が何やら肩を叩いてくる。後ろを振り向くと、なんと小泉元総理大臣が、観客席のど真ん中に立ち上がって熱烈な拍手をしているのであった。
つい最近も皇后美智子様が来ているコンサートへ行ったし、お二方ともに、クラシック音楽が大好きなのだなあと思った次第であった。
今回、こうした珍しい曲にもかかわらず、満席になっているし、東京のクラシック音楽愛好家のレベルの高さというのは、世界的にも相当なものなのだろう。
さて、曲の感想はというと、この曲については初めて聴いたようなものなので、詳しくは書けないが、関心したのは、以下のような事柄かな。
ティンパニが16台。
その効果は音量的なものではなく和声的なもの。弱音で和音を叩くところが多い。相当なこだわりがベルリオーズにあったのだろう。それに、ティンパニ奏者はたえず舞台上でチューニングをしていたところを見ると、かなりの難曲なのだろうなあ。
都響らしからぬ和声の美しさ。
こうした大編成の曲では、音程がぐちゃぐちゃになりがちなのであるが、合唱団とオーケストラがきっちりと合っていた。濁りのない純正律の美しさである。特に音の小さな部分も丁寧に音程が合わされていた。さすがに都内No.1オケと言われることだけのことはある。都響のイメージはもう少し荒いという感じがあったのだが、最近のこのレベルは凄い。
さらに驚愕したのが、舞台袖のトランペットとトローンボーンであるが、舞台から遠い距離にあっても、きっちりと音程が合っているというのも驚異的。
やはり、日本のオケはもはや世界的なレベルなのだろう。
また、この曲が魅力的なところがたくさんあるが、演奏機会に恵まれない要因としては、バッハのマタイ受難曲や、モーツァルトのレクイエムとかにある、魅力的なアリアの少なさや、歌手陣の二重奏、三重奏的にスリリングに複雑に絡んでくるような作りにはなっていないので、その点では、物足りない気がするのである。
まあ、無きゃ無いでそれも魅力なのかもしれないが、いかんせん私がこの曲を聴きこんでいないので、そのように通俗的に思うのかもしれない。
面白いと思った部分は、オーストラの伴奏部分で、あまり聴きなれないような斬新な響きがところどころに聴かれた点。当時のベルリオーズは若者であったはずだが、この時代を超越した生意気な天才性を感じさせるものがあり、こうした響きが後期ロマン派の礎になっているのがよく分かる。
ということで、非常に貴重な体験をさせてもらった次第であった。
日時 4月12日(日) 15:00開演(14:00開場)
曲目 ベルリオーズ:「レクイエム」死者のための大ミサ曲 op.5
指揮 大野和士
出演 ロバート・ディーン・スミス(T)
演奏 東京都交響楽団
合唱 東京オペラシンガーズ
合唱指揮 レナート・バルサドンナ、宮松重紀