和声の祭典で遊んでみて、ふと思ったアイデアがある。それは課題をピアノではなく混声四部合唱で演奏してみたら禁則がより明解にわかるのではないかという話。さっそくSibelius用音源のNotePerformerを使ってやってみることにした。
課題をこなしているうちに平行5度、平行8度を使っている場所が耳でわかるようになってきた。ピアノだとわかり難いのだけれども、声楽にするとその箇所はなんか固い感じがするんだよね。
私は課題を解くときにはSibeliusで下書きを作成している。作成した課題をMP3にすることが簡単にできるし、『平行5度/8度をチェック』するプラグインもあるから便利なのである。このMP3は以下にも吊るしてある。
ちなみに、和声課題を解くには以下の6通りの組み合わせで平行5度/8度をチェックする必要があるので、目視確認は結構面倒なのである。
ソプラノ ─ アルト
ソプラノ ─ テノール
ソプラノ ─ バス
アルト ─ テノール
アルト ─ バス
テノール ─ バス
これに[ソプラノ]─[バス]間では、並達5度、8度の禁則チェックがプラスされる。
導音が主音に進行しているかチェック。
導音の重複をチェック(意外にやってしまう)
和音構成をチェック(3音抜けとか。和音にない音を使っているとか。)
導音の重複をチェック(意外にやってしまう)
和音構成をチェック(3音抜けとか。和音にない音を使っているとか。)
各パート間の音域がオーバーしていないかをチェック。
これにプラスして、低音四度の禁則もあるので、テノール ─ バスの4度のチェックが必要。特に四六の和音を使うときに注意。
やっかいなのが短調の課題で、増音程上行の禁則が世田谷区のゴミの分別のように厳しく、ソプラノ以外はOKにしてほしいと泣きが入るくらい。
結局、このような禁則を機械的にすべてクリアしても、各パートの旋律がスムーズに流れないヘンテコな100点満点の解答ができる場合も多い。和声学は音楽における絶対正義ではなく、所詮は和声パズルにすぎないことを実感できるのも和声の祭典の良いところだろう。
そんなこんなで、和声パズルに興味が増してきてマイブーム中。以下の本を最近購入してみた。
この本、すごく良い。特に藝大和声の簡略本である『和声の原理と実習』とセットで読むとすごく頭が整理される。実際の作曲と和声学との乖離についてもきっちり書かれているのが凄い。そもそも、日本のポンコツ学者が書いた楽典で書かれているような増音程は歌い難いから禁則なんだよといういい加減な解説ではない。世界最高峰の奥義を極めし音楽であるクラシック音楽が増音程も歌えないポンコツな歌手のために配慮するなんて絶対にありえないだろうとずっと思っていたのだが、まったくその通りで、増音程は宗教的な意味で禁則になっていたものが和声学に継承されていると明確に書かれているのが素晴らしい。
なるほどそう意味でいうと世俗音楽である器楽音楽では、増音程がよく使われ、神への賛美を歌う宗教声楽曲では、悪魔を暗示する増音程は禁則というのはまったく納得できる話であるとイエヨウ。知らなかったとは言ってほしくない。とブルックナーのいる天国へ逝けたかどうかは不明だがチャーミングな方からの推薦が聴こえてくるようだ。
ちなみに神の作曲家であるブルックナーが禁則をどれほど破って、どれほどの増音程を使っているのか調べてみるのも面白いかもしれないね。
ちなみに神の作曲家であるブルックナーが禁則をどれほど破って、どれほどの増音程を使っているのか調べてみるのも面白いかもしれないね。