最近、和声学とか藝大和声とかいう用語で検索してくる人が多い気がする。せっかく検索にくる人のおもてなしというわけでもないが、これから作曲家や楽曲分析をはじめる人のために素晴らしい和声学の教科書を紹介しておく。それがカナダの音楽大学で使われている以下の本である。
Mark Sarnecki 著作
日本の和声学というと、禁則を覚えるための和声パズルから入門するのであるが、あまりにも煩雑な禁則を覚えるために最低3年はかかり、その間に和声パズルを解くことに何の意味があるのだろうという疑問で和声学を嫌いになる人も多い。
この本は、そうしたパズル的和声学から脱却し、本物のクラシック音楽から学んでいき、短期間に作曲や楽曲分析ができるようになるようになっている。おそらく1年くらいで藝大和声の内容を履修できるであろう。
また、バロック音楽でおなじみの数字付き低音とか、ポピューラー音楽で使っているコードネームとかも同時に覚えることができるので、実践的にものすごく役に立つ教科書である。まさに、和声後進国日本と和声先進国カナダとの情報格差に唖然とするほどである。なるほど、こうした実践教育を子供のころからやっているので、説得力のある真のクラシック音楽を演奏をできるのであろう。
この本は、そうしたパズル的和声学から脱却し、本物のクラシック音楽から学んでいき、短期間に作曲や楽曲分析ができるようになるようになっている。おそらく1年くらいで藝大和声の内容を履修できるであろう。
また、バロック音楽でおなじみの数字付き低音とか、ポピューラー音楽で使っているコードネームとかも同時に覚えることができるので、実践的にものすごく役に立つ教科書である。まさに、和声後進国日本と和声先進国カナダとの情報格差に唖然とするほどである。なるほど、こうした実践教育を子供のころからやっているので、説得力のある真のクラシック音楽を演奏をできるのであろう。
藝大和声と比較して面白いのが、まず和声学とはいえ旋律を美しくすることが大事であるということで、対位法の基礎もしっかり書いてある点。禁則という用語で機械的にダメ出しするのではなく、こうしたらより良くなるとかの豊富な実例をバッハ、ベートーヴェン、モーツアルト、ブラームス、シューベルト、ハイドン、ショパンなどの例で豊富に説明してくれているのである。いつもさりげなく聞いているモーツアルトやシューベルトもすごい技を使っているんだと、あらためてその天才的手法に驚いたりするのである。
難点は英語であるということだが、これを読んでいるのと読まないのでは、音楽の知識の情報格差がものすごくでるので、読まないと大損である。作曲をしたい人は必読書であろう。
もし、この本が翻訳されたらおそらく音楽大学の標準教科書となることは間違いないと確信できる。
特に最近、発売された藝大の教科書である『新しい和声』はアマゾンサイトで結構叩かれているが、そういう人は、叩いている時間が無駄なので、さっさとこの本を買って勉強すべきである。
●藝大和声との違い
島岡和声学の独自和声記号ではなくグローバル・スタンダードな数字付き低音と和声機能記号で説明している。また『新しい和声』が使っているマニアックなフランス式数字付き低音ではないこともうれしい。
属和音の根音省略形という概念は使っておらず、VIIの和音として独立して解説している。かつVIIの和音を積極的に扱っているし、特に短調の解説が丁寧。
課題の解答はないが、単純なバス課題やソプラノ課題ではなく、課題が解答を導けるように数字付き低音を示すなどの工夫がしてあるので、それほど困ることはない。この工夫により解答が和声がパズル化しないのでよい考えだと思う。不安がある人は、洗足学園音楽大学の『和声の祭典』で腕試しをやることもオススメである。この本を読むからには、和声の祭典では100点の上を目指すことが重要である。
藝大和声の第2巻、第3巻で出てくる内容が、たとえば、展開形、内部変換、非和声音、簡単な転調が基礎巻で学べる。このため旋律の自由度が高くなり、より音楽的な課題に取り組めるようになっている。ハーモニックリズムとか基礎編にあるのが、作曲家志向の人にとってはうれしいだろう。
島岡和声学の独自和声記号ではなくグローバル・スタンダードな数字付き低音と和声機能記号で説明している。また『新しい和声』が使っているマニアックなフランス式数字付き低音ではないこともうれしい。
属和音の根音省略形という概念は使っておらず、VIIの和音として独立して解説している。かつVIIの和音を積極的に扱っているし、特に短調の解説が丁寧。
課題の解答はないが、単純なバス課題やソプラノ課題ではなく、課題が解答を導けるように数字付き低音を示すなどの工夫がしてあるので、それほど困ることはない。この工夫により解答が和声がパズル化しないのでよい考えだと思う。不安がある人は、洗足学園音楽大学の『和声の祭典』で腕試しをやることもオススメである。この本を読むからには、和声の祭典では100点の上を目指すことが重要である。
藝大和声の第2巻、第3巻で出てくる内容が、たとえば、展開形、内部変換、非和声音、簡単な転調が基礎巻で学べる。このため旋律の自由度が高くなり、より音楽的な課題に取り組めるようになっている。ハーモニックリズムとか基礎編にあるのが、作曲家志向の人にとってはうれしいだろう。
逆に副7とか副9の和音、転調は中級以降に回っている。使用頻度の高いものほど、先に教えるというのが方針のようだ。でもIII和音は、基礎編なのだよね。シューベルト、チャイコフスキーとかロマン派も扱っているからかもしれない。
中級巻まで学ぶと、簡単な楽式も学べるのでかなりの作曲的知識が溜まっていく。特に中級の後半は、楽曲分析にかなりの数の楽譜が掲載されており、これを分析することによって、ものすごい力がついてくる。
中級巻まで学ぶと、簡単な楽式も学べるのでかなりの作曲的知識が溜まっていく。特に中級の後半は、楽曲分析にかなりの数の楽譜が掲載されており、これを分析することによって、ものすごい力がついてくる。
上級巻は、増6度和音とナポリ和音を学ぶ。ここでモーツアルトの天才性、ブラームスの努力を知ることになる。そしてお待ちかねの遠隔調への転調とかのスーパーテクニックをワーグナー、ベートーヴェン、ハイドンで学び、最後は、与えられたパッセージで作曲せよという最終試験をくぐり、大バッハのコラールで締めくくられるという構成には、これぞクラシック音楽の奥義を極めし醍醐味であると痺れる感覚すらある。
この本のご紹介は、作曲家の小菅由加里(こすげゆかり)さんから頂きました。とても感謝しております。
https://comp-diary.blogspot.jp/2013/04/study-of-harmony.html
●アドバイス
英語の本なので、平行、並達、直行などの和声学の用語がわからないと、初心者には難しいかもしれない。なので基本的なところは、島岡先生の『和声の原理と実習』に目を通しておいた方がよい。その方がよくわかるであろう。